『家、ついて行ってイイですか?』今が「一番楽しい」と言った2人の女性
#テレビ東京 #家、ついて行ってイイですか? #中央線
2月24日に放送された『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)のテーマは「運命受け入れ……明るい未来を目指す人たちSP」。運命というのは、ときに残酷なものでもある。
甲斐性マイナス5万点の夫に「幸せだよ」と寄り添う妻
深夜の吉祥寺で番組が声をかけたのは、職業・ジャズピアニストの55歳の男性、吉澤はじめさん。この時間まで吉祥寺のライブハウスで演奏していたそうだ。「家、ついて行ってイイですか?」とスタッフが尋ねると、吉澤さんは訪問を快諾してくれた。
それにしても、彼を見ていると「ミュージシャンは生活感が薄い」と実感する。でも、彼には家庭があるらしい。立川にあるご自宅へ向かう途中、車中で奥さんについて質問してみた。
「(妻は)優しい性格。ひたすら感謝しかないですね」
現在住んでいるのは吉澤さんのご実家で、彼のお父さんが車庫の上に作った掘っ立て小屋に夫婦で住まわせてもらっているらしい。つまり、家賃は0円。いざ家の中に入ってみると、住み心地はすこぶる良さそうだった。そして、そこには噂の奥さんがいた。吉澤さんが言った通り、優しい雰囲気にあふれた女性だ。不思議なけだるさから、どこか色気も感じる。
実は、この家にはお風呂がない。しかも夫婦の稼ぎは低く、銭湯に行けるのは週に1~2回である。テレビは故障して1年が経過したが、買い直すお金はない。外食は月1~2回で、いつもはスーパーで総菜が半額になる時間帯を狙っているとのこと。吉澤さんの月の収入は10万円より上に行くことがほとんどないそうだ。
かつて、彼はSLEEP WALKERというバンドを組んでおり、その頃の年収は1,000万円、住まいは2階建ての一軒家だった。バンドの音楽が木村拓哉出演のNikonのCM曲に採用されたこともある。「吉澤はじめ」の名前で検索すると、birdやCHARA、ACO、Monday満ちるらに楽曲を提供した輝かしい経歴を知ることもできた。しかし、「自分の音楽を追求したい!」という思いから彼はバンドを解散させる。以来、10年間ずっと低収入。生活を支えるのは、診療所で事務の仕事をしている奥さんだ。
吉澤さん 「支えてもらってます」
奥さん 「何にもしてないよ」
奥さんが、また明るいのだ。タバコを吸いながら可愛らしい笑顔で夫の曲を聴く姿がカッコいい。この辺りの雰囲気は、いかにも中央線っぽいな……。
吉澤さん 「普通だったら(奥さんが)『もっと自分から仕事取りに行けよ』って言うのに言わないもんだから、それでいいもんだと勘違いしてここまで来てんだけど(笑)。あんまり幸せじゃないんじゃない?」
奥さん 「えー、幸せだよ」
まるで、令和の神田川である。お金がなくても寄り添ってくれる女性、それがいるだけで吉澤さんは勝ち組だと思う。でも、彼女はなぜここまで夫に付いていけるのだろう?
奥さん 「一緒にいる状態がすごい自然で心地いいから。ちょこちょこっとした幸せがすごいいっぱいあると思うんだけどなぁ。例えば、お風呂がないこととかも、銭湯は今まで行ったことなかったけどお気に入りの銭湯を見つけたりだとか。そういうのちょっと楽しい。楽しいよね?」
吉澤さん 「楽しいのか(笑)」
お風呂がなくったってタバコを吸ってお酒を飲んで、そして何よりも自由だ。だから、素敵な2人にしか見えなかった。
吉澤さん 「男の甲斐性で言うと、俺は0点というかマイナス5万点くらいなんですよ。カミさんがいなかったら確実に無理だと思うけど。まずは、カミさんに毎日銭湯に行けるくらいの暮らしを提供したいっていうのが僕の最低限の夢かな」
奥さん 「私にとってはこの生活が幸せ」
幸せの定義は人それぞれである。ならば、人がどう思おうと自分だけは「今の生活が幸せ」と思える人間でありたい。
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