星野源の「一番ヤバいこと」をテレビで目撃する
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テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月21~27日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします
平野レミ「チューズデーだったらつまりさ、吊るすデーでしょうよ」
珍味と呼ばれるものの多くは珍味ではない。珍臭だ。味というより独特なにおい。要はクサみ。そのクサみをある人は愛し、ある人は嫌悪する。
で、テレビの中の珍味というか珍臭のひとつに、NHKが積極的に発信する「面白いもの」「恒例のやつ」がある。
たとえば、23日の『平野レミの早わざレシピ!』(NHK総合)。料理愛好家である平野が短時間でたくさんの料理をつくる生放送の番組だ。祝日を中心に放送されており、今回も1時間10分の放送時間に12品を慌ただしく作っていた。
この番組ではとにかく平野が食材を立てる。カリフラワーを立て、大根を立て、鯛を立てる。番組ではこれを「おっ立て」と呼ぶ。周囲からは「出ました、おっ立て」みたいな声も飛ぶ。
最初は面白かった。驚きもあった。ただ、「おっ立て」をはじめとした「暴走」があまりに繰り返されると、そこにはもう「これをやればバズる」みたいな意図が見えてしまう。いや、何か意図があるのは当然として、それがあからさまに透けて見えてしまうと。あのいつものNHKのクサみがし始める。
今回も始めはそんな流れだった。平野がニンニクをボールの底で叩き潰す、鍋を皿でかき混ぜる、食材を詰め込んだレミパンの蓋は当然のように閉まらない。鍋にパセリをおっ立て、グラスにアスパラをおっ立て、シチューに沈んだ固形物にハーブをおっ立てる。計算された逸脱。予定された暴走。
流れが変わったのは、辛味のあるソースを作り終えたときだった。平野は今日の曜日を確認し始める。
「今日火曜日じゃん。火曜日でチューズデーでしょ。チューズデーだったらつまりさ、吊るすデーでしょうよ」
そう言って平野の前に現れたのは、洗濯物のようにピンチハンガーで吊るされたフライだ。「アジフライ(市販品)」「エビフライ(市販品)」などと食材がテロップで出る。洗濯バサミとお惣菜の料理番組での偶然の出会い。そこから手にとって辛めのソースでお食べください。その展開と画面に笑ってしまうけれど、アナウンサーがさらに追い打ちをかける。
「洗濯バサミは新品を消毒して使っております」
番組は続き、最後はゲストの森山良子にあわせてサトウキビを使った料理。平野が穴の空いた大根にラムチョップとサトウキビをおっ立てていくと、ゲストの森山が「ざわわ、ざわわ」と『さとうきび畑』を歌い始める。平野は言う。
「今日は良子ちゃんとサトウキビでさ、共食いね」
パフォーマーとしての平野の底知れなさを改めて感じた。消毒はしたけど消臭はしなかったNHKの珍味。ごちそうさまでした。
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