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「女性活躍」は経済政策で男女平等に興味なし──夫婦別姓に女性議員まで反対! 自民党に根付く男尊女卑思想

マスコミもジェンダー不平等への関心は薄い

「女性活躍」は経済政策で男女平等に興味なし──夫婦別姓に女性議員まで反対! 自民党に根付く男尊女卑思想の画像2
安倍晋三

「ただしマスコミもジェンダー不平等への関心は薄く、『女性活躍』というキャッチフレーズばかりを無批判に広めたことの効果は大きなものがあったと思います。安倍政権の女性活躍推進政策は専門家・研究者の評価は低いですが、10年後、20年後の世の中では、『安倍政権が掲げた女性活躍推進政策が、女性の地位向上のきっかけになった』といった認識が広まっている可能性もあるでしょう」(堀江氏)

 メディアの問題については、「安倍さんがジェンダー平等や男女共同参画にむしろ否定的な立場の議員だったことが報じられていないのも、大きな問題」と堀江氏は話す。

 男女平等や男女共同参画、ジェンダー運動などの流れに反対する運動・勢力は、「バックラッシュ」と呼ばれるが、安倍前首相はその中心にいた人物。第一次安倍政権の成立前年の05年に発足した「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」において、安倍前首相は座長に就任。夫婦別姓や、男女共同参画条例、男女混合名簿などに異議を唱えていた。

「そうした過去があったので、安倍さんは首相在任中も『男女共同参画』『ジェンダー』といった言葉を国会の答弁でほとんど使っていません。『女性活躍』という曖昧なキャッチフレーズを掲げたのも、大臣のポスト名に『女性活力・子育て支援担当大臣』『女性活躍担当大臣』という名称を使ったのも、そうした言葉を避けるためだと考えられます」(堀江氏)

 なお安倍前首相が座長に就任したプロジェクトチームにおいて、事務局長を務めたのは山谷えり子参議院議員。今回の選択的夫婦別姓についても反対側に回った自民党議員だ。文化人類学とフェミニズムの研究者で、日本の右派勢力の動向にも詳しいモンタナ州立大学社会学・人類学部の山口智美准教授は、「今回の選択的夫婦別姓に反対している議員には、日本会議とともに夫婦別姓反対活動を長年続けてきた人が多い」と話す。

「自民党では選択的夫婦別姓に反対する議員たちが、家族や地域社会の絆を重視する議員連盟『「絆」を紡ぐ会』を20年11月に立ち上げましたが、中心メンバーの高市早苗さんや、山谷えり子さんは日本会議と関係の深い議員です」(山口氏)

 今や多くの人が知る存在だが、日本会議は右派・保守系の団体としては国内最大級の組織。2015年時点で国会議員の約4割が参加していたことや、安倍前首相と思想が近く、安倍内閣の大半がその参加者だったことなどをご存じの方も多いだろう。なお日本会議の結成は97年だが、その前身団体の頃から、夫婦別姓への反対活動は始まっていたという。

「日本会議のウェブサイトに活動の歩みが記載されていますが、95年には『家族の絆を守り夫婦別姓に反対する国民委員会』が設立され、夫婦別姓法案の反対運動を始めています。翌年には『夫婦別姓に反対する地方議会決議相次ぐ(281議会)』との記載がありますが、地方議会の決議を次々と出していくのは、日本会議の典型的な運動法です」(山口氏)

 その後も夫婦別姓に反対する活動はズラリと記載されているが、90年代後半には「新しい歴史教科書をつくる会」の活動も活発化した。

「草の根保守運動に励む人たちは、そちらに力を入れすぎたせいか、男女共同参画社会基本法(99年施行)には目立った反対活動を行いませんでした。そして全会一致で同法が成立してから慌て始めたのか、男女平等や男女共同参画の流れに反対する『バックラッシュ』が始まったんです」(山口氏)

 その中では01年9月には日本会議内に「日本女性の会」という組織も誕生。「日本の家族を守る運動」や、夫婦別姓法案への反対運動などを断続的に行っている。

「『日本女性の会』が大きな集会を開くと、そこに国会議員の支援者として現れるのが高市さんや山谷さんたちでした。彼女たちはもう15年以上も夫婦別姓への反対活動を続けていますし、民主党政権で福島瑞穂さんが男女共同参画の内閣府特命担当大臣だった時期にも、法案の上程すらさせていません」(山口氏)

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