トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ  > おぎやはぎ小木と『水ダウ』の邪悪さ

芸人とテレビとポリコレと──金属バットにあって、おぎやはぎ小木と『水ダウ』にはないものとは何か?

芸人とテレビとポリコレと──金属バットにあって、おぎやはぎ小木と『水ダウ』にはないものとは何か?の画像1
おぎやはぎ

お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!

おぎやはぎ・小木の女性蔑視は逆張りじゃない

タカ おぎやはぎの小木(博明)が炎上しましたね。発端は、東京五輪組織委員会・森喜朗会長(当時)の発言をめぐって『バイキング』(2月10日放送/フジテレビ系)で「女性ってピラニアじゃないですか、もう」とコメントしたことでした。そこから「自分が可愛いと思い上がらないように娘にはブスだと言い聞かせている」という過去の発言が話題になって、娘と一緒にお風呂に入っているというエピソードトークが掘り起こされ……という流れで、最終的にClubhouseでソーシャル・アクティビストたちと小木本人が対話するところまでいきました。

ユージ Clubhouseでの話の中身はここでは触れませんが、小木が普段のメディアでの振る舞い方は見せていなかったのが興味深かったです。小木って基本的に逆張り芸の人じゃないですか。『バイキング』でも「今日はどっち叩けばいいんですか?」と番組内で語ってしまうこと自体が笑いにつながっているし、そういうスタンスが評価されていると思います。でも「ピラニア」発言は「腐り芸人オンラインセラピー」(2月11日配信)でも言ってたし、本音なんだろうと思うんですよね。女性蔑視的なスタンスは逆張りでもなんでもなく身についている。

タカ 2020年の『THE MANZAI』(12月6日放送/フジテレビ系)で「コンプライアンス」と題した漫才をやっていましたが、扱ってるのはコンプラというよりポリコレの話で、「言いたいこと言えなくなっていって、世知辛いよね」というトーンでした。そういうふうに「なんでもかんでもポリコレ、ハラスメントでうるさい」と言う人はいまだに多いけど、それ自体間違ってますからね。

ユージ それって「お~、こわ」って身振りですよね。

タカ 「お~、こわ」で何か言った気になるのってセンスないじゃないですか。それは声を大にして言いたいです。そこで止まってるのはネタが停滞していてダサいってことを意識してほしい。

ユージ おぎやはぎって、2人とも本当はクズだけど飄々としてて可愛げもあってコンビ仲も良くて──ってイメージでやってきてますよね。関西芸人的な規範から逸脱してて、「“東京”っぽくてかっこいい」という。

タカ そのイメージはありました。おぎやはぎが出てきた頃はまだコンビ仲が良いだけでも新鮮に受け止められてたし。でも表向きにホモソーシャルっぽく振る舞っていないだけで、その実より強固なホモソーシャル的価値観を持っている。

ユージ そうなんですよ。タレント化してからのおぎやはぎにずっと違和感があったんですけど、今回の件で自分の中でその理由がはっきりしました。それで引き合いに出したいのが金属バットなんです。過去に一度、漫才の中で差別的なことを言ったと批判されたことがあったじゃないですか。

タカ あったあった。

ユージ もともと僕は金属バットが好きで、あの一件があっても相変わらず好きなんです。彼らのネタはたしかに不謹慎なワードや際どいテーマも多くて、誰かを傷つける可能性を持っているのになぜ好きなのかというと、自分たちの有害さ、猛毒性に自覚的だからなんですよね。

12
ページ上部へ戻る

配給映画