高倉健や時の総理も愛した老舗フランス料理店が金銭トラブルの渦中に…名ギャルソン亡き後の悲哀
#ビートたけし #高倉健 #ドンピエール #ピエール・エ・ペリニィヨン #フランス料理
大物政財界人から昭和の銀幕スター、歌舞伎界の重鎮ほか、数多くの有名芸能人が足繁く通った東京・中央区銀座1丁目の老舗フランス料理店『ドンピエール』(旧店名『ピエール・エ・ペリニィヨン』)。緊急事態宣言再発令を受けて現在、臨時休業中だが、店の元関係者から「コロナ禍で休業しているのかと思ったら、どうも親会社の金銭トラブルに巻き込まれたみたいです」との情報が寄せられた。
1984年に開業した『ドンピエール』は、政財界人のみならず、故・高倉健さんはじめ、松本白鸚、松本幸四郎、松たか子ファミリー、ビートたけしなどの有名芸能人が足繁く通った名店だが、筆者はオープンから2年目の86年、妻の父の一年祭法要を同店で行ったのが縁で通うようになった。
通い始めた頃、グルメを気取る作家で元長野県知事の田中康夫氏が一人で来店したことがあった。田中は、有名人でもあるにもかかわらず、店のギャルソンが自分を優遇してくれなかったことに腹を立て、自らが連載を持っていた媒体で「店の接客態度が悪い」と批判した。
その記事を読んだ店の代表でギャルソンだった故・明永正範さんは、「うちの店は、誰に対しても差別しません」とひと言。たしかに店には、元総理大臣の麻生太郎や現総理大臣の菅義偉、電通会長や味の素会長といったそうそうたる政財界人が通っていたが、明永さんは分け隔てなく接客し、後にノンフィクション『銀座の達人たち』(早瀬圭一/新潮社刊)でも紹介された。
筆者はその後、ビートたけしに店を紹介。たけしが足繁く通うようになってからは、すでに店の常連だった高倉健さんが「たけしさんと一緒に映画を作りたい」と店のスタッフに伝えたことで、2人の映画制作が期待された。しかし、実現前に健さんが他界してしまった。
『ドンピエール』には、数え切らないほどのエピソードがあった。
だが、代表だった明永さんが2013年に62歳の若さで他界。その約3年後、店はテクノシステム株式会社(以下、テクノ社)に買収された。以後、料理の味やグレード、接客の質などが変化し、常連客の足は遠のいて行った。
『ドンピエール』グループを買収したテクノ社は、横浜ランドマークタワーに本社を置き、飲食産業にも進出する一方、現在は太陽光発電や海水などの淡水化システムを手掛けている。同社の生田尚之代表取締役は、小泉純一郎元首相とも親しくしていることで知られているが、そんなテクノ社に関して、「週刊新潮」が、ある疑惑を報じている。
「金融庁が調査厳命!クリーンを装い200億円調達の果て日没した『太陽光発電会社』の広告塔は小泉純一郎」と題された記事によれば、同社は、太陽光発電事業などの資金を募るファンドを設立。これまでに200億円近い資金を調達したものの、大部分が募集時の目的のために使われず、合同会社からテクノ社に流れた資金は、複数のトンネル会社を通じて、借入金返済に充てられてきたとの告発があるという。
今月5日、資金を貸し付けたSBIソーシャルレンディングが、「貸付先の事業運営に重大な懸案事項が生じている可能性が認められた」として、第三者委員会の設置を発表。9日には、金融庁から「報告徴求命令」が出されていたことが発覚し、金融業界に激震が走ったが、懸念されるのはファンドの行方だけではない。テクノ社の自転車操業が明らかになったことで、『ドンピエール』の存続まで危ぶまれている。
ちなみに、SBIソーシャルレンディングが設置した第三者委員会の調査結果は4月中に報告される予定だというが、もし『ドンピエール』が存続できるならば、飲食に関しては素人同然の現経営陣には手を引いてもらい、健さんやたけしに愛された、かつての『ドンピエール』が蘇ることを期待したい。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事