森喜朗氏の女性蔑視発言がアメリカ人気コメディ番組で早速ネタに…性差別への痛烈な皮肉
#スタンダップコメディ #Saku Yanagawa
「東京オリンピック・パラリンピックの組織員会会長の森喜朗が女性蔑視発言」
このニュースがアメリカで大々的に報じられることこそなかったが、それでもオリンピック運営のトップのこの発言は、コメディ界でもネタにされた。
「“女性が多いと会議が長い”発言」の翌日に放送された人気コメディ番組『ザ・デイリーショー』で、ホストのトレバー・ノアが早速いじってみせたのだ。
この『ザ・デイリーショー』はコメディ専門のケーブル局「コメディ・セントラル」で1996年以来放送を続けている長寿番組。毎週月曜から木曜の夜、その日に実際に起こったニュースをときに誇張し、また風刺しながらジョークに昇華し、アメリカ全土に笑いを届けてきた。
実際の政治家をゲストに呼ぶこともあるが、キャスターに扮したコメディアンが実に手厳しい質問を投げかけることでも有名で、過去にもビル・クリントンやバラク・オバマといった当時の現職大統領に対しても容赦ない追求がなされた。保守にもリベラルにも忖度せず、まさにアメリカの政治風刺コメディの中心に君臨し続けてきた番組だ。
これまでに3人のホストが番組を形作ってきたが、その中でも2016年にわたって務めあげた2代目のジョン・スチュアートの功績は大きい。巧みな話術と鋭い分析で政治を笑いに変え、この番組を国民的番組へと大きく成長させた。そして15年、彼が番組を卒業し後任に抜擢されたのが、当時31歳だった南アフリカ出身のトレバー・ノアだった。
すでにスタンダップコメディアンとしての実力は認知されていたとはいえ、ジョン・スチュアートの後任にまだキャリアの浅い、しかもアメリカ人ではないトレバー・ノアが起用されることに大きな論争が巻き起こったが、そんな雑音をものともせずこの6年間全速力で駆け抜けてきた。そしてトレバー・ノア自身、今や「アメリカの顔」になりつつある。
もともとモノマネの要素を取り入れたスタンダップで人気を博していた彼は、この番組内でも政治家の声色や口調を真似しながらジョークにする。皮肉の混じった政治への言及も近年深みが増してきた印象だ。
2月5日。「キャスター」のトレバーは森喜朗の発言を扱ったニュースを受け、ため息混じりにこう語った。
「はぁ……やれやれ。彼は辞任したいだろうな。だって辞任しないとまた会議に戻らなきゃならないでしょ。そしたらだいぶ気まずいもんね。たとえば、『シャロン、君の部署の進捗はどうなったかね?』」って尋ねたら、『さあね、私はその質問に答える十分な時間あるかしら』って言われるだろうね」
理由はどうあれ、「辞任」という結果は間違いではなかった。そしてカメラを見つめ、彼は続けた。
「俺は彼の発言を擁護はしないけど、でも83歳なんだろ。君たちのおじいちゃんが公衆の面前に立ってマイク握らされたらきっと2分も持たないうちに、オスカーの司会を辞退させられちゃうよ」
このジョークは、ゲイを揶揄する過去の失言で、オスカーの司会を「キャンセル」された盟友、ケビン・ハートを皮肉っている。
「でも森喜朗が完全に間違っているとは思わない。確かに女がいると会議は長くなるもんね。(空気が少し張り詰める)ちょっと待って! 最後まで聞いてくれ。女が何かアイディアを出すと、その1分後に決まって男はそれを繰り返すんだ。そして会議の時間がどんどんどんどん伸びていくんだ」
一見、森喜朗の発言を擁護しているかのようなこのジョーク。しかしここにもトレバーなりの捻りが加えられていた。そもそも、この「男が繰り返す」という言説には、元ネタが存在する。
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