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『青天を衝け』視聴率低下も心配なし! 地味な主人公・渋沢栄一がもたらすであろう“幕末オールスターズ”の活躍

必見は「江戸城の人々の日常生活シーン」

 また、2回目まで放送を拝見したに過ぎませんが、歴史エッセイストとして『青天~』に期待できそうな点がもうひとつあります。それは、江戸城の人々の日常生活をサラッと描写しているシーンが多いところです。

 吉幾三さん演じる徳川家慶(12代将軍)は、初登場シーンから奥医師に舌を見せて、問診を受けていました。筆者としては、ああいう工夫は良いな、と思って見ています。

 当時は、医師とはいえ、高貴な人たちの身体には直接触れないようにしており(というか、医師の身分自体があまり高くはなく)とくに大奥の高貴な女性を相手にする場合は、脈も糸を手首にまきつけて図る「糸脈」という方法が取られていました。

 本当にそれで診察できていたのかは不明で、また映像にするのは厳しいでしょうが、現代の感覚からかけ離れた、このようなちょっとしたシーンからも高貴な人々の日常生活の描写も楽しめるのではないでしょうか。おそらく歴史考証をしっかり行いながら登場人物をじっくりと描くことのできる「大河~」だからこそ出せるシーンだと思ったりしますよ。

 ということで、初回視聴率が久々の20%以上だったのは、2013年の『八重の桜』以來のことでしたから、数字が下がってしまったのは残念ですが、今後も当コラムは『青天~』に注目していきます。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 11:53
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