『艦これ』も被害に! 海外で集英社になりすました削除申請発生… 日本コンテンツで同様事案も
#集英社 #削除申請 #なりすまし
遊び感覚でも申請できてしまう危うさ
このような背景もあって第三者によるDMCA攻撃が起こってしまっているわけだが、AIによる審査だけでなく、申請の容易さにも原因があると牧野弁護士は指摘する。
「権利者からの通知は形式的な書式が整っていれば、誰でも申請できます。私も仕事で真の権利者のクライアントから依頼を受けることがありますが、あまりに簡単で『なりすましを請け負う業者もいるのでは?』と思うほどですし、申請すれば簡単に削除されます」
なおDMCAに基づく申請は、誰でもグーグルで確認することができる。2月19日現在、「除外がリクエストされたURL」は「5,021,518,718」で、以下、「指定されたドメイン3,148,175」「著作権者241,026」「申立団体235,875」と続く。いかに多くの申請が行われているかがわかる数字だ。
しかし、以前と比べるとプロバイダー、プラットフォーム側の審査は向上しているようだ。
「自動審査の品質において、グーグルはこの5年で非常に大きく進歩しました。5年前は、DMCA申請はそのほとんどが素通りで受け入れられ、削除されていましたが、今はかなりの精度で審査が行われています。それは人間が稼働する体制としても、自動審査の技術力でも明らかに強化されていると考えられます。その精度はこの1~2年でも一段と高まっており、今後さらなる改善が期待できます」(辻氏)
いくらAIが進歩しても、間違いがゼロになることはありえない。だからこそ、DMCAそのものを改善していく努力も必要だと牧野氏は指摘する。
「現状では虚偽のDMCA申請を行った人が罰せられたというケースは聞いたことがないですし、ビジネス的な損害を被っても、損害の証明が難しいことに加えて、アメリカで裁判をしなければならないといった問題があります。
だからこそ、今後は例えば即削除ではなくて(DMCAの利用を登録制等にして)権利者の身元を確認するなど、DMCAの運用基準を改善していくことも、視野に入れるべきかもしれません。DMCAが作られたときは、この法律が嫌がらせ、なりすましに使われるとは想定しなかったのでしょうが、今は相手が誰かわからず、コンテンツホルダーが泣き寝入りすることも多いのも事実です」
新手の犯罪、迷惑行為が後を絶たないため、プロバイダーだけでなく法律も追いついていないということだが、そのため重要になってくるのはコンテンツホルダーや被害者、警察などの動き方のようだ。
「プラットフォーム側の改善は見られますが、それが急激に進むことはなく、まだまだ問題が続きます。この問題を減らすためには、コンテンツホルダーは泣き寝入りをせずに、犯人を罰するために自ら動いていただきたいと考えます。ぜひ、被害者にも警察にも動いていただきたいところです。また、企業がDMCAを悪用するケース(ユーザーからのネガティブな投稿の削除など)も多く、それらは主に悪評隠蔽を目的としますが、その意図を失敗に終わらせるため、悪用の事実を周知目的で拡散することが必要と考えます。DMCAの悪用に気軽に手を染めてしまう企業・人が多いことは確かですが、すでに大きすぎる代償を支払うことになった事例も多くあります。個人であっても企業であっても、そのような悪用を割に合わないリスキーなものにしていくため、戦う必要があります」(辻氏)
ネット上での誹謗中傷が取り沙汰されている昨今だが、今後はこのDMCAによる虚偽申請という問題も、同じく社会問題として注目されていくだろう。
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