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Sexy Zoneの新曲をトラックメイカーが分析 課題はK-POPとの差別化とジャニーズの“翻訳化”

2stepは“ジャニーズらしさ”と“海外戦略”の折衷案か

Sexy Zoneの新曲をトラックメイカーが分析 課題はK-POPとの差別化とジャニーズの翻訳化の画像2
Sexy Zone7thアルバム『POP×STEP!?』

 ティーン向けの王道ジャニーズグループとして2011年にデビューしたSexy Zone。当時は平均年齢14.4歳と幼かったメンバーも、今や全員20代になりキャリア10年選手のパフォーマーへと成長した。そしてこの数年では更なる進化・変化を目指しつつあるようだ。 

 2020年にリリースされたSexy Zoneの7thアルバム『POP×STEP!?』はLUCKY TAPESのKai Takahashi、tofubeats、三毛猫ホームレス、chelmicoと言ったインターネット世代の音楽プロデューサー&アーティストを多く起用。ディープトーンのスーツに身を包んだメンバーの姿を捉えたアートワークも、彼らの新しいステップを予感させるヴィジュアルだった。

 更に『POP×STEP!?』リリース後に、デビューから在籍したポニーキャニオンから、ジャニーズ事務所とユニバーサルが提携する新事務所へと移籍。海外展開も視野に入れた活動を目指すことが発表されていた。

 そして先日公開された「RIGHT NEXT TO YOU」……英語詞はもちろん、2step~UK Garageという、ポップスとも親和性の高いダンス・ミュージックかつ、世界的にリバイバルの気運高まりつつあるこのジャンルを選んだ点は、まさしく世界に打って出ていく彼らの姿勢が見えてくる選択、ディレクションと言えるのではないだろうか。

 海外展開を目指すアジア発のボーイズ・グループと言えば、BTSを始めとするK-POPの国際的な快進撃は今や誰もが知る所だが、ともなれば気になるのが日本国内のボーイズ・グループの動向。LDHが手がけるBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEなど、海外展開を目指すグループの動きは国内でも増えつつある傾向だが(ちなみに「RIGHT NEXT TO YOU」を作曲したSteven Lee氏は2000年代半ばからジャニーズ・グループの作曲を手がけているベテラン作曲家だが、並行してSHINeeやOH MY GIRLなどのK-POP、LDHにも楽曲提供している)Sexy Zoneもまた、このムーブメントの中に本腰を入れて参入していくのだろうか? そしてそれは成功を収めるのだろうか?

 国内のティーン向けから、世界市場を見据えたアプローチへの転換期であろう彼らにとって、ポップスと相性が良く、リバイバルしつつある2stepというジャンルは、元来の“ジャニーズらしさ”と“海外戦略”の折衷案になり得るのかもしれない。

 ここから更なる進出を目指すとすれば、より洗練された形と、比較対象になるであろうBTSらK-POPとの差別化──それは結果としてジャニーズらしさ、日本らしさ(なるものが存在するとすれば、であるが)をいかに翻訳化するか、という作業になるのかも知れないが──が求められるだろう。10周年を迎え、更なる「次」を目指す彼らの今後に注目したい所だ。

小鉄昇一郎(トラックメイカー・ライター)

1990年生まれ。香川県在住。トラックメイカーとしてラッパーやCM音楽などに多数楽曲提供。ソロ作品として『I MISS YOU』『STUDIO MAV THEME』tofubeatsによるレーベルHIHATTから『Ge’ Down E.P.』などをリリースしている。また、ライターとしてヒップホップや電子音楽、インターネット・カルチャーや西日本のローカル・シーンなどをテーマに執筆活動も行なっており、Quick Japan、ミュージック・マガジン、ユリイカなどの雑誌/メディアに寄稿している。

Twitter:@y0kotetsu

Instagram:@y0kotetsu

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こてつしょういちろう

最終更新:2021/09/18 21:40
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