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Sexy Zoneの新曲をトラックメイカーが分析 課題はK-POPとの差別化とジャニーズの“翻訳化”

Sexy Zoneの新曲をトラックメイカーが分析 課題はK-POPとの差別化とジャニーズの翻訳化の画像1
Sexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」(YouTube ver.)より 

 Sexy Zoneの新曲が注目を集めている。2月17日に公開された「RIGHT NEXT TO YOU」のPVがすでに100万回再生を突破、YouTubeの急上昇チャートにも登場し、ツイッターでは「#セクゾのライネク半端ねぇ」というハッシュタグが盛り上がっている。

 活動10周年のメモリアル・アルバムとなる次作『SZ10TH』収録予定の新曲として公開された「RIGHT NEXT TO YOU」は、全編英語詞のボーカルにクラブ風のサウンドと、非常にスタイリッシュにまとめ上げられている印象だ。

 とりわけ、歌謡曲的な「ABサビ」構造ではなく、ループで進み一度だけブレイク(ベースのルートも変わる)を挟んで展開する、近年のUSヒットチャートでも増えつつある大胆な構成を、J-POPで聴けるのは痛快だ。「RIGHT NEXT TO YOU」を歌番組で披露する際には、是非ともこのブレイクが省略されずに放送される事を、筆者個人としては願いたい。

平井堅、m-flo、f(x)、TWICE…2step~UK Garageのヒット曲

「RIGHT NEXT TO YOU」のバックトラックは2stepもしくはUK Garageと呼ばれるダンス・ミュージックのスタイルを踏襲している。90年代末~2000年代初頭にかけてイギリスのクラブで誕生・流行した2step~UK Garageは、シャッフルしたドラムやうねるようなシンセサイザーのベースが特徴で、MJ Cole、Artful Dodger、Todd Edwardsと言ったプロデューサーが代表的なクリエイターだ。

 また、他のジャンルも取り込める強い雑食性を持ち、アンダーグラウンドなダンス・ミュージックながらR&Bなど歌のあるポップスとも親和性が高く、2000年前後には英米問わず2stepを取り入れたヒット曲が多く登場した。(一方、よりアンダーグラウンドな方向に進化したDubstep、Grimeと言った派生ジャンルもある)

 本邦でも2001年には、m-flo「come again」平井堅「KISS OF LIFE」など、2stepを取り入れたJ-POPがヒットしている。

 2step~UK Garageは一過性の流行に終わらず、定番のスタイルとして確立・浸透した。とりわけ近年はイギリスのシンガーJorja Smithの「On My Mind」や、日本でも人気のカナダのアーティストThe Weekndの「Wasted Time」など、若手ミュージシャンが2stepを取り入れた楽曲をリリースする例も増えつつある。

 本邦ではプロデューサーのtofubeatsが本場イギリスのアーティストDJ QとGaidaaとコラボレートした「All In」や、仮面ライダーの主題歌として人気の三浦大知「EXCITE」のプロデュースを手がけたCarpenterによるセルフ・リメイク曲「EXCITE(Carpenter Remix)」など、メジャーなポップス~クラブ・ミュージックの現場の両方を行き来するようなチャレンジングな作品がリリースされている。

 K-POPではどうだろう。f(x)の「4 Walls」はイギリスの人気プロデューサーチームLDN Noiseが曲を手がけており、所属事務所のSMエンターテインメントらしい高級感溢れるPVとともに話題を呼んだ。トレンドの移り変わりの激しいK-POPの中にあって2015年のリリースながら、今でも色褪せない魅力を放っている。

 TWICE「Feel Special」SHINee「Prism」などと併せて、K-POPの中の2step~UK Garageサウンドとして紹介したい。(サイゾーウーマンの過去記事でも、より詳しくK-POPと2stepの関係を解説している)

 2stepはイギリスで生まれ、日本はもちろん世界各国に影響を与え、メジャーなポップスからアンダーグラウンドなクラブ・シーンの橋渡し的存在でもあるジャンル……と言えるだろう。そして、Sexy Zoneがこのジャンルを取り入れた楽曲を今、このタイミングでリリースしたことについても考えてみたい。

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