『アメトーーク!』仲良し芸人企画が成り立たなくなる日は近い──サンドウィッチマンが体現する“男同士のケア”
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「富澤に食べさせてやろう」がなぜ稀有なのか
ここでひとつのロールモデルを提示したい。お笑いコンビ・サンドウィッチマンである。
彼らが上京してから2007年に『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)でチャンピオンになるまで2人で暮らしていたのは有名なエピソードだ。お金がなかった当時、給料が入ると鶏肉を2キロ買ってきて富澤が唐揚げを揚げまくる「唐揚げパーティ」をやっていたとよく語っている(伊達がお好み焼きを焼きまくる「お好み焼きパーティ」もあったとのこと)。
それぞれ結婚した現在も、たとえば伊達が中華料理店で食事をした際、富澤の好物の麻婆豆腐がおいしかったので「これ食べさせてやろう」とテイクアウトしていったという話を自分たちで語っている(『アメトーーク!』テレビ朝日/17年9月17日)。そのほかにも伊達が使うかもしれない物を富澤が持ち歩いていたり、誕生日プレゼントを必ず交換したり人間ドックに一緒に行ったりと、こうしたエピソードは枚挙にいとまがない。さらに、彼らはてらいなく相方のことを「おもしろい」「優しい」と評し合う。これはまさに男性同士の“ケア”の関係といっていいのではないだろうか。
こうしたイメージは彼らの人気にも直結している。
「サンドウィッチマンといえば、今や好感度ナンバーワン芸人です。もちろんネタのおもしろさやバラエティで活躍する力ありきですが、群を抜いた仲の良さも好感度の高さに貢献している。男くさい見た目とのギャップもウケている要素のひとつでしょうね」(バラエティ番組スタッフ)
男が男を気にかけて互いに世話をする、競争ではなく親愛のコミュニケーションを築く――いわゆる「男らしさ」とは遠いところにあることの表れが、評価につながるようになってきているのだ。はからずも昨年の『M-1』でウエストランドの井口浩之が「お笑い好きな女子が好きなのは仲良しコント師なんだよ!」と怨嗟の叫びを上げていたが、今や仲良しが好きなのは“お笑い好き女子”に限った話ではなくなってきている。
とはいえ、サンドウィッチマンのそうした関係性がことさら知られているのも、それがある種奇異なものとしてバラエティで取り上げられてきたからだ。『アメトーーク!』では「相方やさしい芸人」や「相方大好き芸人」といったくくり企画をたびたび放送してきた。それは仲の良い芸人という存在が珍しくおもしろい題材だったからだろう。
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