警察の違法な職務質問と尿検査が横行する? 「大麻使用罪」導入で危惧される日本社会の逆行と人権侵害
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あの経済学者がドラッグ合法化を唱えるロジック
このような大麻の合法化・非犯罪化の流れの背景には何があるのか? 経済小説『マネーロンダリング』(幻冬舎)や『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)などで知られる作家の橘玲氏は、こう語る。
「ひとつは、世界的に価値観がリベラル化していることです。これは必ずしも政治的にリベラルになるという意味ではなくて、『自分らしく生きるのが素晴らしい』という価値観で、言ってしまえばネオリベ(ネオリベラリズム、新自由主義)と呼ばれる思想に近い。『私は自由に生きるから、あなたも自由に生きればいい。そして自由に生きた結果、起こったことの責任はそれぞれが取ればいい』という発想です」
よって大麻のようなソフトドラッグは、個人で楽しんでいる限りは誰の迷惑になるわけでもなく、わざわざ国家が介入する必要はないというわけだ。
「そもそも嗜好品を法で禁止すると、どうしてもそれが欲しい人がいる場合は闇経済化し、犯罪の温床になる。アルコールというドラッグでそれが起きたことは、いわゆる禁酒法時代(1920~33年)のアメリカで実証されています。60年代からミルトン・フリードマンのようなネオリベ系の経済学者は、コカインやヘロインといったハードドラッグもすべて合法化し、アルコールやたばこのように税金をかけ、市場で扱えるようにすればいいと言っています」(橘氏)
さすがにハードドラッグの合法化には抵抗を感じる人が大多数だろう。しかし少なくとも大麻に関しては、合法化により非合法な業者が駆逐され、リスクもコントロールしやすくなるという見方が強まっているようだ。現に、アメリカでいち早く娯楽用大麻を解禁したコロラド州では未成年の大麻使用が減ったというデータもある。そして、そのような流れに「逆行」しているのが日本ということになる。
「誰もが自由に生きられる社会は、一人ひとりがバラバラになっていくことでもあります。みんなが好きなことをやり始めれば、社会を構成していた中間共同体が解体する。中間共同体とは、欧米であれば教会やスポーツクラブなどですが、日本の場合は会社と家庭しかない。男性はサラリーマンとして会社に、女性は専業主婦として家庭に所属することで戦後の日本社会は安定していたのですが、それがすでに揺らいでいる。
保守派がなぜ働く女性を嫌がるのかといえば、経済力を持った女性は家庭に依存する必要がなくなるからです。彼らが夫婦別姓に反対するのも、伝統的なイエ制度の解体を恐れているから。大麻の厳罰化にしても、規制で締め付けないと日本社会が制御不能になってしまうという危機感が根っこにあるのではないでしょうかか」(同)
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