ワクチンがつくる「コロナ後の世界」と加速するシリコンバレー離れ
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──あまりにも速すぎるデジタルテクノロジーの進化に、社会や法律、倫理が追いつかない現代。世界でさまざまなテクノロジーが生み出され、デジタルトランスフォーメーションが進行している。果たしてそこは、ハイテクの楽園か、それともディストピアなのか……。(「月刊サイゾー」2月号より一部転載)
2020年12月初旬、ニューヨークの五番街。例年ならクリスマスシーズンの彩りの中で、たくさんの人がショッピングや食事を楽しむこの目抜き通りも、まるでゴーストタウンのような静けさに包まれていた。
感染者数2000万人超、死者数は累計で35万人超──(1月4日時点)。
世界でもっとも多くの死者を出し、今なお毎日20万人以上の新規感染者が続いているアメリカは、日本人が想像するよりもはるかに厳しい日常生活を送っている。
とりわけパンデミック初期に大量の死者を出したニューヨークでは、プロである医師や看護師たちまで、この正体不明のウイルスに罹って、生死の境をさまよった人たちが多い。
そんなアメリカで、いよいよワクチン接種が始まった。
「来週、いよいよ(ワクチンの)2回目の接種ですね。よくこの早さで、作り上げたと思います」
マンハッタンのマウントサイナイ病院で働いている山田悠史医師は、まだ配布が始まったばかりのワクチンを、すでに接種した人の1人だ。
打ったのはドイツのバイオンテック社の技術をもとに、大手製薬会社のファイザーが共同で完成させたワクチンだ。今のところ、事後良好とのこと。
そして日々多くの患者を診療している山田医師によると、多くの家族や知人を失った人たちがいるニューヨークでは、“伝統的にワクチンを打たないことを固いポリシーとしてきた人たち”も、その意見を変えつつある。
新型コロナが、とりわけ貧しい地区に住む人々の命を、大量に奪ったのを目にしたからだという。
「(感染防止で面会できず)最期のお別れのため、みんなiPhoneやiPadを使って、サヨナラをしたんです」
そう語るのは、同病院のヘレン・フェルナンデス医師だ。本人もパンデミックの渦中にあって新型コロナに罹ったが、幸いにも大事に至らずにすんだ。
しかし、原因不明の病によって亡くなる人たちと同じくらい辛いのは、その死に目にすら会えない家族たちだ。フェイスタイム(FaceTime)のようなビデオ通話で、意識のない患者の動画を、病室から配信してもらうケースもある。
「私たちの病院には、お別れのビデオ通話ができるようにと、たくさんのスマートフォンやタブレットが寄贈されたんですよ」
遺体の収納場所が足りずに、トラックに山積みにされていたブロンクス地区の病院も訪ねた。今は落ち着きを取り戻しているが、痛ましい記憶が、多くの人をワクチンに向かわせているのだろう。
ところでまったく同じ頃、地球の反対側の中国では、驚くような光景が広がっていた。
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