ドラッグ疲れでメディテーション──大麻・瞑想・オーバードーズ! 米ドラッグビジネス最新事情
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ドラッグ中毒は卒業しビジネスの従事者へ
前述のシモンズは、超越瞑想の専門家として数々の著作を発表し、アプリ開発にも積極的に携わっている。ドラッグ(と女)疲れから瞑想ビジネスに着手したシモンズだが、あのプロデューサー兼ラッパーも新たなビジネスに鼻息を荒くしているようだ。
「瞑想ビジネスで成功しているのはシモンズのほかにいないと思いますが、パフ・ダディが『ハフポスト』の創始者であるアリアナ・ハフィントンと“睡眠のための瞑想音源”を発表したので、追随するラッパーは出てくるかも。アプリでいえば、コカインや処方薬中毒によってうつ病を発表したキッド・カディが制作に着手しているという話もあります」(同)
キッド・カディといえば、リル・ピープやジュース・ワールド、マック・ミラーなどが取り上げられる以前、09年のデビューアルバム『Man on the Moon: The End of Day』の時点で、メンタルヘルスとドラッグについて正面から取り組んでいた重要なアーティストである。ミラーも生きていれば彼以上の存在になっていたかもしれないが、カディのビジネス参入は、元ドラッグユーザーだからこそ説得力のあるものだ。
かつて売人経験のあるラッパーは、「自分はドラッグに手を出さない。ビジネスで使う売り物だから」──そんな線引きをしていた。そして、ラッパーとして成功した彼らは、違法だったドラッグが合法化されるタイミングでビジネスに乗り出す。
とにかく、違法/合法、裏/表の線引きだけはできていた。だが、誰もがそうできるとは限らない現実もある。曲は売れないから、ひたすらライブを演って稼ぐ。そのため、アーティストとして長期的ビジョンなど持つ余裕もなく、ひたすらツアーでスケジュールを埋める。スケジュールをこなすためなら、違法ドラッグの代用品として、合法ドラッグの過剰摂取さえ行う。さらに、その苦難を乗り切ったラッパーが始めるのは、音楽への専念だけでなく、そこを抜け切れなかった頃の自分のような相手を救済することが目的のビジネス展開。
20年のラップシーンとドラッグの関係から見えてくるのは、ラッパーの目の前に広がる、“裏ワザ”しか通用しない、矛盾に満ちた世界なのだろうか。
(文/小林雅明)
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