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森氏の五輪組織委会長辞任で、清和会が激怒⁉ 菅下ろし拍車か

森氏の五輪組織委会長辞任で、清和会が激怒⁉ 菅下ろし拍車かの画像1
写真/GettyImagesより

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(元首相)が女性蔑視の発言(2月3日JOCの臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」)をしたとされる問題で2月12日、辞任を表明した。

 筆者も“昭和の会社”にどっぷり浸かって社会人時代を過ごした世代なので、今回の辞任表明には驚いた。

 後で森氏の発言を、全体を通して聞いてみた。当然、私には森氏をとやかく批判する資格はない。しかしここは潔く、キッパリと昭和のおじさんメンタリティーを捨て、これからはいかなる局面であれ、女性についてコメントする時は、慎重には慎重を期さなければならない時代に我々は生きているのだということを肝に銘じた方が良さそうだ。

森氏を守らなかった菅総理に清和会怒り心頭

 自身の派閥を持たない菅政権は、最大派閥の細田派(旧森派)、麻生派、二階派、竹下派、石原派の主流5派閥に支えられる形で成立している。

 そして、森氏は長らく不遇の時代を過ごした細田派こと清和政策研究会(清和会)を復活させた中興の祖として、同派のベテラン議員から今も強い尊敬の念を集めている。

 清和会は田中角栄と「角福戦争」と呼ばれた激しい派閥抗争を繰り広げた福田赳夫元総理が、1962年に立ち上げた党風刷新連盟に起源を持つ。福田は田中がロッキード事件で逮捕された後の1976年に総理の座を勝ち取るが、政権は2年弱と短命に終わる。その後の日本政治は田中率いる木曜クラブ(田中派)が仕切ったので、清和会は20年以上にわたり総理を出せず非主流派に甘んじた。

 そんな冷遇された同派の命運を一気に変えたのが2000年4月5日に、脳梗塞で倒れ急遽入院した小渕恵三首相の後を継ぐ形で内閣総理大臣に就任した森氏だった。

 森氏自身の内閣は1年と短命に終わったが、その後、清和会は小泉純一郎、安倍晋三(第一次)、福田康夫、そして再び安倍晋三と、通算すれば16年以上日本の政治を仕切った。当然、森氏は同派及び日本の政治に大きな影響力を持ち続けた。

 森氏の失言について2月8日の衆議院予算委員会で野党議員から追及された菅総理は、「国益にとって芳しいものではない。しかし、『森会長は謝罪し、IOC(国際オリンピック委員会)はこの問題は終了したと考えている』と表明している」と答弁したものの、一方で、森氏の辞任については、「人事は組織委(五輪組織委員会)で決める。私は判断を尊重する立場だ」と自らの権限外であるとした。

 菅総理の答弁は間違っていない。理屈ではその通りだ。しかし、清和会の幹部にとっては、「自民党の幹事長、総理総裁まで務めた森先生を体を張ってでも守ろうともしなかった菅首相の態度は裏切りだ」(清和会関係者)にしか映らなかった。

 この場に及べば、森氏が2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で不適切な発言をしたか否かなどは、政権与党の幹部らにとってはどうでもよい些細な問題なのだ。綺麗ごとを言っても政治は、所詮、怨念の世界だ。

 今回の森会長の不名誉な辞任騒ぎは、自民党総裁選に少なからず影響を残すだろう。安倍前総理が今回の菅氏の行為をどう捉えるのか? 盟友の麻生太郎副総理兼財務相(麻生派)の間で「菅は次の総裁にはやはり推せない」という事になるのかもしれない。細田派(清和会、98名の議員)と麻生派(志公会、55名の議員)の支持を失えば、菅総理の未来は暗い。

会社員兼フリーランス・ジャーナリスト。政治、経済、社会ネタを気の向くままに執筆

みつけたろう

最終更新:2021/02/22 02:27
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