東北大学が大規模調査「看護師を辞めたい」が43%…医療従事者のメンタルケアの重要性
#看護師 #医療従事者
新型コロナウイルスの感染拡大は、医療にも大きな影響を与えている。「医療危機」「医療体制の崩壊」という言葉を聞かない日はないほどだ。特に、病院などの経営面への影響とともに懸念されるのが、医療従事者の精神面への影響だ。東北大学大学院の調査によると、新型コロナの影響で看護師の仕事を辞めたいと思ったとの回答が43%にものぼった。
東北大学大学院は2月10日、看護師の看護職の精神健康の変化と離職意向の状態の調査結果を発表した。
調査は人口10万人あたりの感染者数が相対的に多い、4 都道府県と感染者数が相対的に少ない4都道府県を選定し、該当する都道府県から無作為に病院を抽出して行われた。この無作為に抽出した病院に勤務する看護師1万人を対象にオンライン調査を実施、2273人から回答を得た。
「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、看護職の仕事を辞めたいと思ったことがありましたか」との質問に対しては、「たびたびあった」との回答が355名(15.6%)、「ときどきあった」との回答が620名(27.3%)の合計975名(42.9%)に上った。
約半数の看護師が新型コロナの感染拡大の影響により、看護師の仕事を辞めたいと思う経験をしていることが明らかになった。
さらに、「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、看護職の仕事を続ける自信がなくなったことがありましたか」との質問に対して、「たびたびあった」との回答が280名(12.3%)、「ときどきあった」との回答が681名(30.0%)の合計961名(42.3%)に上った。
4割以上の看護師が新型コロナの感染拡大の影響で、看護師という仕事を続ける自信を失う経験をしていることが明らかになった。
調査結果について同大大学院では、「新型コロナウイルス感染症流行下で、病院勤務の看護職の精神健康の状態が悪化していることが明らかとなった。新型コロナウイルス感染症の流行は、その程度の大小にかかわらず看護職の精神健康にネガティブな影響をもたらしている」としている。
2020年6月には、東京女子医大病院で新型コロナ禍により収入が大幅に減少したとして病院側が夏季賞与を支給しないことを決め、これに対して約400人の看護師が退職の意向を示すという事態が発生し、大きな話題となった。
こうした新型コロナ禍による病院経営への影響を通じた、医療従事者の経済面への影響に加え、新型コロナ感染患者を受け入れている病院では、“過重労働”も起きている。
加えて、医療従事者であることで、「保育園や幼稚園で子どもが受け入れを拒否された」「学校への登校を拒否された」「家族が出社に及ばずと言われた」といった不条理な被害も出ている。さらに、「新型コロナ患者を治療しているということで、家族が風評被害にあっている」など例もある。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事