トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 『ヤクザと家族』監修者が見た『すばらしき世界』

『ヤクザと家族』監修者・沖田臥竜が見た『すばらしき世界』とスーパー脇役・北村有起哉の凄み

「すばらしき世界」を生きるために

 だが、他の生き方に気づかされてしまったらどうだろうか。自分の至らない人生を後悔することになったら、どうなるだろうか。

 それでも当たり前だが、死ぬまでは生きていかなくてはならない。生活水準が限りなく低くなったとしても、若い頃は汗水たらして働くのがバカバカしく感じていたとしても、解決できない問題に直面したとしても、死ぬまでは生きて行かなくてはならないのだ。

 それが、生きていくということとなってくるだろう。そして、必死になって生きていれば、さまざまな新しい出会いが生まれ、そこに小さくとも喜びを見出すことができる。だからこそ、この社会は「すばらしき世界」なのだ。

  役所さん演じる主人公の経歴に同情の余地はない。しかし、それでも一生懸命に生きようとする姿に、人は魅了され、手を指しのべようとするのではないだろうか。

 ところで、そんな役所さんと優劣つけがたい存在感を、私に見せつけた俳優がいた。

 『ヤクザと家族』のオールアップの日。都内の某クラブで「沖田さんもそんなところにいないで、こっちで一緒に写真を撮りましょうよ!」と声をかけてくれた人物である。

 それが、『すばらしき世界』では、福祉事務所のケースワーカーを演じた北村有起哉さんであった。『ヤクザと家族』では若頭役を見事にこなした北村さんは、同時期に、元ヤクザと向き合うケースワーカー役を演じてみせていたのだ。この振り幅は、北村さんにしかこなせないのではないだろうか。

 『ヤクザと家族』の盃ごとのシーンでも、本来なら3カ月か半年はかかる所作を、たった1日で北村さんは覚えてしまい、演じきってしまったのだ。それにも驚愕させられたものだが、『すばらしき世界』では全く異なるお芝居をこなしてみせ、その実力は底知れぬものがあると思わされた。

 そして私が、ヤクザと家族の現場で接した北村さんの気遣いは、俳優としてだけではなく、人としても一級品の人物であった。北村さんのさらなる活躍を、今は見たくてしかたない。

映画『すばらしき世界』公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai/

映画『ヤクザと家族 The Family』公式サイト
https://www.yakuzatokazoku.com/

最終更新:2021/02/16 18:00
123
ページ上部へ戻る

配給映画