トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 清原和博はなぜ醜態を晒すのか?
放送作家が人気動画を分析「YouTubeには手を出すな」10

清原和博はなぜYouTubeで醜態を晒すのか!? アスリートの常識を捨てた真の狙い

清原和博はなぜYouTubeで醜態を晒すのか!? アスリートの常識を捨てた真の狙いの画像1
写真/GettyImagesより

 アスリートのYouTube、なかでもプロ野球選手のチャンネルが盛り上がりを見せている。今季から日本球界に復帰した田中将大が新たにチャンネルを開設。さらにOBでは、昨季限りで現役を引退した藤川球児もスタートした。

 そんな中、あの大物OBのチャンネルが異彩を放っている。

 その名も『清ちゃんスポーツ』。そう、現役時代は「番長」のニックネームで球界の頂点に君臨した、あの清原和博のチャンネルだ。

 2020年12月12日に動画が投稿されてから2カ月強。チャンネル登録者数は29.8万人(2月11日現在)。平均再生数は78万回という、プロ野球系チャンネルとしては異例の数字を叩き出している。

 清原を知らない日本人はいない……そう言っても過言ではないほどの知名度を誇るのだから、この数字も当たり前と思われるかもしれない。だが、それだけではない。このチャンネルは、これまでのプロ野球系チャンネルとは一線を画す設計で結果を出している。分析しがいのあるチャンネルなのだ。

 清原のチャンネルは、大きく3つの軸で構築されている。1つ目は、現在の野球界に対する解説動画。2つ目は、選手やタレントとのコラボ動画。そして3つ目は、『ホームランへの道』と名付けられたシリーズ企画だ。

『ホームランへの道』は、引退して13年、薬物の使用など紆余曲折があり、丸々と太りまくってしまった清原が、再びホームランを打つまでの記録をドキュメントしていく企画だ。プロ通算525本のホームランを放った清原が、バッティングセンターでボールにかすりもしないという衝撃的なシーンから始まるこのシリーズは、チャンネルの屋台骨を担っている。この企画があるからこそ、『清ちゃんスポーツ』は新しい。

 これまでのプロ野球OBチャンネルは、解説動画とコラボ動画が主流だった。なぜなら答えはシンプルで、「体が動かないから」。だが、『清ちゃんスポーツ』は動かないのを逆手にとって、「動けるようになるまで」を企画にしてしまったのだ。

 アスリートは、自分の情けない姿が世に出るのを嫌う。過去に輝かしい栄光を持てば持つほど、その反動で見せたがらない。アスリートはすごい動きができるから価値があるのであって、衰えた姿を見せたって何の価値もないというのが彼らの考え方なのだ。だが、清原は違う。一度道を踏み外したことで、アスリートの常識が消えた。むしろ泥臭く這い上がっていく姿を見せることで、もう一度応援してもらえる人間になろう……そんなメッセージがこの企画から見て取れる。

 YouTubeには、メインストリームから外れてしまった人間を応援するカルチャーがある。宮迫博之がいい例だろう。

12
ページ上部へ戻る

配給映画