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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > あやややモー娘。が誰かの人生を救った『あの頃。』
深読みCINEMA【パンドラ映画館】Vol.622

松浦亜弥やモー娘。に人生を救われた人々がいた! 松坂桃李主演の実録コメディ映画『あの頃。』

やがて訪れる「中学10年生の夏休み」の終わり

松浦亜弥やモー娘。に人生を救われた人々がいた! 松坂桃李主演の実録コメディ映画『あの頃。』の画像3
コズミンを演じるのは仲野太賀。公開中の『すばらしき人生』でもキーパーソンを務めている。

 劔が上京してからも、物語はまだまだ続く。バンドマネージャーとして忙しく働くようになった劔に代わって、物語の中心となるのはコズミンだ。性格的に非常に面倒くさいコズミンだが、「恋愛研究会。」のメンバーからは面倒くささも含めて愛されていた。そのコズミンが、末期がんであることが発覚する。

 バカバカしいコメディから、いっきにシリアスモードに転調するのかと思えば、そこは今泉監督らしく、こちらの予想を大きく裏切る。入院前日のコズミンは、風俗店で病気を口実に本番プレイを風俗嬢におねだりする。そんな不謹慎エピソードの数々が綴られていく。余命宣告された状況を、コズミンは全力で笑い飛ばそうとする。コズミンの言動は、すべて命懸けのギャグとなる。

 生前葬と銘打った「恋愛研究会。」の久しぶりのライブでは、東京から戻ってきた劔、病院から一時退院したコズミンも交え、思い出の曲「恋ING」をみんなで熱唱する。死ぬ瞬間まで、「今が人生でいちばん楽しい」と感じられれば、それはどんなに幸せなことだろうか。

 あややのビデオを見て号泣した劔は、「恋ING」を歌いながら再び涙を流す。もう2度と同じメンバーでは、「恋ING」を歌うことはできない。ちょっと遅めの青春を満喫した劔にとって、それは心の痛みを伴う旅立ちの瞬間だった。アイドルオタクであることは、まさに彼らにとって最後の砦だった。

『あの頃。』
原作/劔樹人 脚本/冨永昌敬 監督/今泉力哉 出演/松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ、大下ヒロト、木口健太、中田青渚、片山友希、山﨑夢人(BEYOOOOONDS)、西田尚美
配給/ファントム・フィルム 2月19日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー 
(c)2020『あの頃。』製作委員会
https://phantom-film.com/anokoro

最終更新:2021/02/11 20:00
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