『俺の家の話』クドカンが描く“育ちの差”…幼少期に形成された金銭感覚は大人になっても変わらないのか
#長瀬智也 #宮藤官九郎 #俺の家の話 #金曜ドラマ
クドカンこと宮藤官九郎が手がけるドラマ『俺の家の話』(TBS系)の評判が上々だ。能楽の保持者で人間国宝の父・観山寿三郎(西田敏行)が属する観山家での出来事を描いた『俺の家の話』。主軸は介護、ほかにも発達障害や相続問題など扱われている内容はライトなものではないが、クドカンの手腕で笑って泣けるコメディドラマに仕上がっている。
そんななか、先週放送された第3話の内容が話題を呼んだ。
さくら(戸田恵梨香)のこと本当の婚約者だと思い込む認知症の寿三郎に、さくらは困惑していた。観山家の長男・寿一(長瀬智也)にそれを相談すると、寿一はさくらに「もう少し婚約者のふりをしていてくれないか」と頼む。さくらは一瞬迷って、こう答えた。「わかりました。でしたら、その分のお金月々いただけますか?」
突然お金の話が出てきたことに驚く寿一。さくらは月額3万円を提案し、「ごめんなさい、金額が決まらないと先に進めないたちで」と付け加える。寿一は動揺しながらも「ファイトマネーですよね、非常にわかりやすい」と表面上の理解を示して3万円を手渡した。それを受け取ったさくらは、「みなさんが曖昧過ぎるんですよ、裕福だから」と静かに笑う。
さくらが幼少期に味わった失望―。
さくらがここまでお金にこだわるのには、幼少期の環境が影響していた。さくらの母はとにかく男運がなく、夫は多額の借金を残して先立ち、その後の彼氏たちはDV男やヒモなどしょうもない男ばかりだった。そのうち、まだ小学生だったさくらに500円玉を渡して飲みに出かけるようになり、時には数日後に帰ってくることもあった。
そんな生活が続いたさくらは、500円を使わずに貯金するようになった。お金がなくなってしまうのが不安だったのだ。ある日、さくらが友達の誕生日会に行くためにコツコツ貯めた500円玉の貯金箱を開けると、中身は空になっていた。おそらく母がくすねたのだろう。こうしてさくらが幼少期に味わった苦しみや失望が、今の彼女の金銭感覚を構築したのだ。
幼少期に形成された金銭感覚は大人になっても変わらない?
今でこそ経済的に厳しい観山家だが、寿三郎が第一線で活躍していた頃は裕福そのものだった。裕福な家庭で生まれ育った寿一は、幼い頃にお金で悩むことはなかったはず。豊かな環境で形成された価値観は、貧乏になった今でも変わることはなく、お金のやりくりはできないし、当然のごとく金銭を要求するさくらにも驚いてしまう。
対してさくらは、幼少期に金銭感覚が研ぎ澄まされたため、今では経済的に困らない生活を送っている。稼ぎ方の良し悪しはどうあれ、お金を手に入れる手段はきちんと知っているのだ。経済的に余裕ができても、もらうところはきちんともらう、それがさくらのやり方だ。
昔は裕福だったからこそ、今は貧乏な寿一。昔は貧乏だったからこそ、今は裕福なさくら。その対比を現した描写も『俺の家の話』に込められたメッセージのひとつなのかもしれない。
■番組情報
金曜ドラマ『俺の家の話』
TBS系/毎週金曜日22時~
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、桐谷健太、西田敏行、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村 仁成(ジャニーズJr.)ほか
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未、佐藤敦司
音楽:河野伸
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/oreie_tbs/
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