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「コロナ禍になって芸人の”席”はむしろ減ってる」令和ロマンが語る“令和の芸人の歩き方”

『マヂカルラブリーno寄席』バカ売れで風向きが変わった?

「コロナ禍になって芸人の席はむしろ減ってる」令和ロマンが語る令和の芸人の歩き方の画像3
髙比良くるま

──『NHK新人お笑い大賞』で披露したネタも、昨年のM-1準々決勝でやっていた「神田伯山」ネタも、コントに入る前にくるまさんがめちゃくちゃブツブツ言ってるのが気になりまして。あれは以前からやってたんですか?

ケムリ 結構ずっとやってますね。「早くやってよ」みたいなくだりがあるので。

くるま 始まるまで我慢できないんで。漫才って本当はしゃべくり漫才が基本だから、コント入るのはおかしいことでやっぱり恥ずかしいんですよ。その羞恥心をかき消すかのようにブツブツ言い訳してます。あと、あれは基本的に前2列のお客さんにだけ聞こえる声量で言ってるんですけど、それで別の可能性も感じてるんですよね。前の人にしっかり聞こえて真ん中の人にはちょっとだけ聞こえて、後ろの人には完全に聞こえなかったら全員受け取り方が違うじゃないですか。なんかおもしろくないですか?

ケムリ 3D漫才?

くるま 発明になるかも。前と後ろで聞こえ方違っても同じくらいウケたいですね。

ケムリ ひつまぶしみたいじゃん。

くるま 「ひつまぶし~! まんざ~い!」(フジテレビ系『ネタパレ』紹介ナレーションの口調)

ケムリ 名古屋の芸人だと思われるよ(笑)。

──聞こえないのは嫌ですけど(笑)、ああいう部分があるとヤバい人っぽさが増してよりウケやすくなったりするのかな、と思っていました。

くるま あー、たしかに、それかもなぁ。僕ら結局、やってることは普通のボケなんですよね。変な漫才もしたいんですけど、思いつかない。でも普通だとナメられちゃうから、お笑いファンの目に真空ジェシカさんとかダイヤモンドさんみたいに映るようにやってるのかもしれないですね。「ここから始まる内容は普通だけど、本当は普通じゃないのに頑張ってやってるんですよ……!」って見えるように、無意識に防衛本能で。

ケムリ 変人ぶってるってこと?(笑) でもまぁ、あるのかもね。

──過去には「劇場でネタ突き詰めるだけじゃなく、テレビ出たいし売れたいし、そこが中途半端で良くないんだろうなと思う」(コスミック出版「芸人芸人芸人」Vol.1)とインタビューでおっしゃっていました。この感覚は今も変わらないですか?

くるま 今年とか来年は、特にテレビ出なきゃなって思ってます。コロナ禍になってから、よりテレビに出ないと話にならなくなっちゃいましたね。たぶん今「家にいるんだからめっちゃネタつくろう」ってみんなやってると思うんですよ。それも大事なんですけど、確実に、芸人の”席”の総数は減ってるじゃないですか。

ケムリ 席っていうか、上がり方は減ってるよな。

くるま ネタ職人の席も減ってません? 配信でチケット売るからなおさら知名度とか求心力がないといけなくて、YouTubeも登録者数増やすにはテレビ出るのがまだ一番の近道になってる。

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松井ケムリ

──そういう分析なんですね。今のお笑いブームめいた空気の中で若手への注目も集まって、YouTubeで手軽に存在を知ってもらうチャンスが増えてるのかなと思ってました。

くるま それは全然あると思います。でもそこでパイの取り合いをしてる中で、テレビに出られてたら箔が付くんですよね。お笑いファンはもう時間が埋まっちゃってるじゃないですか。応援してる人のYouTubeだったりライブ配信だったりオンラインサロンだったりで。そうなると、テレビに映ることで新しいお客さんを獲得して集客力を高めるしかない。集客力の数値が“無限”になっちゃったんで。

ケムリ ライブが配信中心になったからね。

くるま 劇場を満杯にしてもなんの指標にもならなくなっちゃった。だから人気獲得のための戦いを無限にしないといけなくなってると思います。

「コロナ禍になって芸人の席はむしろ減ってる」令和ロマンが語る令和の芸人の歩き方の画像5

──『マヂカルラブリーno寄席』が1万7000枚売れて話題になりましたが、通常の劇場ライブだったら考えられない数ですもんね。

くるま そう、あれなんですよ。僕の体感ですけど、あのライブでマジで風向きが変わりました。配信ウケ狙うタイプのライブの数が増えたし、それぞれの劇場もそういう点を宣伝するようになって、一時期下がってたチケット全体の売上が伸びてるらしいんですよ。劇場ってずっと赤字だったわけです。それを吉本興業が仁義で支払ってくれてたのが、めっちゃ配信ライブやれば黒字になるってわかっちゃうと、本当に怖い想像ですけど「じゃあ黒字になるやつを出そう」って発想になるんじゃないかなと思って。

ケムリ 赤字でも劇場持ってることに吉本は美学みたいなものがあったというかね。

くるま だったじゃん。でも黒字になる可能性があるなら、企業は黒字にしたいじゃん。そうなると話が変わってくるな~って思ってます。だからやっぱりテレビは出たほうがいいだろうなと改めて思いますね。

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(写真/二瓶彩)

令和ロマン(れいわ ろまん)
ボケの髙比良くるま(1994年生まれ、東京都出身)とツッコミの松井ケムリ(1993年生まれ、神奈川県出身)のコンビ。2015年、慶應義塾大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」の先輩後輩で「魔人無骨」を結成。令和初日から現在のコンビ名に改名。松井の父が大和証券グループ本社副社長兼最高執行責任者であることも話題に。2020年『第7回NHK新人お笑い大賞』優勝。
オフィシャルYouTubeチャンネル「official令和ロマン」

斎藤岬(ライター)

1986年、神奈川県生まれ。編集者、ライター。

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さいとうみさき

最終更新:2021/02/13 12:00
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