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日刊サイゾー トップ > 社会  > 「緊急避妊薬」議論のゆくえ

医師会は明確な理由なく「時期尚早」で煙に巻き…政府「緊急避妊薬」薬局販売検討も中絶利権に群がる医師界の反対

コンドームだけが避妊じゃない!

 ところで、仮に市販化が叶ったとしても問題は残っている。それは価格だ。日本ではバイアグラなども世界と比較して高額だが、アフターピルについては品質・価格ともに健全な市場競争が始まらなければ気軽にアプローチできる存在とはならないだろう。前述した価格である1万5000円の10分の1くらいの価格になってこそ、はじめて流通しやすくなるのではないだろうか。

 少し話は逸れるが、ピル後進国・日本の現状を尻目に、世界ではさまざまなピルや避妊具が次々と登場している。世界で認可が進む皮膚に貼る避妊用パッチ、スティック型のインプラント避妊具、ミニピル(プロゲステロン単独)などは、日本でいずれも議題にすらのぼっていない。また日本が圧倒的に遅れている分野に「経口中絶薬」がある。これは、妊娠初期に飲めば、月経と同時に人工的な流産という形で安全に中絶が可能となる薬だ。米国や欧州では、望まぬ妊娠時には経口中絶薬を使用するのが主な方法になっている。

「日本では、避妊失敗率の高いコンドームを使った避妊がまだまだ主流。しかも避妊するか否かの選択権が、男性に委ねられているように感じます。諸外国では経口内服するピルのほかにも多様な避妊方法の中から、女性が自由に選択できる環境があります。医師会の反対は続くかと思いますが、結局、最終的には世論の後押しが重要になってくるかと思います。女性、男性、医師、薬剤師、また皆さんの意見を交えれば、合理的かつ時代に沿った結論が出るでしょう」(山本氏)

 現代において薬は、人間の幸福を守る上でも重要なもの。緊急避妊薬の市販化においても、時代性に合わせた十分な議論が求められそうだ。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2021/02/07 09:00
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