『家、ついて行ってイイですか?』で突然始まったM-1アナザーストーリー。錦鯉・渡辺隆がくすぐる母性本能
#家、ついて行ってイイですか? #錦鯉
1月27日に放送された『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)。たまにこの番組は「仕込みか?」と疑いたくなるような人物とバッタリ出くわすことが多いが、見事にこの回も出くわしてくれた。
妻が他界し、42歳の息子と2人暮らし
昨年12月8日、江戸川区の銭湯で番組スタッフが声をかけたのは70歳の男性・渡邉さん。現在は42歳の息子さんと2人暮らしをしており、奥さんは2000年にお亡くなりになったそうだ。
スタッフ 「息子さんってお仕事は何をされているんですか?」
渡邉さん 「うーん、何やってるんだろう」
スタッフ 「知らないんですか?」
渡邉さん 「いや、知ってるんですけど、言わないほうがいいのかなあ?」
ご自宅は4LDKの持ち家で、渡邉さんは5代目だという。10年前に家は建て替えられ、今年で築10年。どうやら、土地を所有するお金持ちのようだ。
かつて魚屋で働いていたという渡邉さんは慣れた手つきで魚を焼き、晩酌を始めた。さんまを本当に美味しそうに食べるのだ。魚屋を辞めた後、渡邉さんは長距離ドライバーに転職した。全国を走り回り家を空けがちな日々の中、奥さんは交通事故に遭ってしまった。
「朝、犬の散歩をしてて(車側の)信号無視で。2トンの車の下に入っちゃったから、首やっちゃった。即死だね。それからは仕事も少し休んで。1カ月以上、四十九日まで。あの後、車を運転できなくなった。横断歩道を見れなかった。(妻が)横断歩道で亡くなってるから。でも、子どもらのほうがショック大きかったんじゃないかねえ……。塞ぎ込みますよね」
「息子はスターではない。でも、錦鯉の漫才は大好き」
ふと部屋のカレンダーに目をやると、色々なことが細かく書いてある。そして、12月20日の日付にあったのは「M-1決勝」という書き込みだ。
渡邉さん 「せがれがM-1決勝に出るんですよ。息子の仕事は漫才師。『錦鯉』って言うの」
スタッフ 「えっ? どっちですか?」
渡邉さん 「ツッコミ。芸歴22年で、相方変わって9年目。叩き漫才だね」
錦鯉・渡辺隆のお父さんだったのだ。ちなみにこの取材は「M-1グランプリ2020」開催の約2週間前に行われている。決戦の舞台で息子がどんな成績を残すか父は知る由もなかったが、結果的に錦鯉は爪痕を残した。まあ、その前に父はすでに誇らしげなのだが。スタッフから「最近、(錦鯉を)よくテレビで見ますね」と言われると、渡邉さんは心底嬉しそうな顔をした。
「ね! あとは、事件を起こさないことだよね。ハハハハハ。まあ、歳取ってるから状況をわかってるとは思うんだけどね。長いから。もう、20年も(芸人を)やってるわけだから。でも、今年は決勝に行ったからね。大したもんだ!」
しかし、亡き母は息子の芸能界入りに泣いて反対したという。大変な世界と知るからこその親心。
スタッフ 「奥様は舞台を見に行かれたんですか?」
渡邉さん 「行ってない、行ってない。平成12年に亡くなってるから。芸人になって2年目ぐらいの頃ですね。せがれにしてみれば、その思いもあるんじゃないかなあ。(母親に)活躍するところを見せたかったんじゃないですかね、画面でね。芸人になってすぐに亡くなっちゃいましたからね」
出場者らのバックステージの素顔を掘り下げる「M-1アナザーストーリー」なる動画がYoutubeで公開中だが、今回の『家つい』はまるで錦鯉・渡辺隆のアナザーストーリーである。
スタッフ 「(M-1で)優勝したら何て声掛けます?」
渡邉さん 「『ご苦労様』かねえ。『ご苦労様』、出るよねえ。大した遊びもしなかったんじゃないの、金も無えんだから。我慢強い。真面目だね。親より真面目じゃないのかなあ。我慢強くないとここまでやらないでしょ。俺じゃできない(笑)」
もちろん、代々から引き継ぐ地盤という強みもある。だから、実家にいながら芸人を続けてこれた。これは東京者のメリットだろう。父の理解があったから、隆はここまで芸人をやってこられたのだ。息子を嫌いな父親なんていない。
渡邉さん 「(コンビを結成して)3~6年くらいでバーッと頂点に立っちゃう人もいるしね。(そういう人は)スターなんですよ、生まれたときから」
スタッフ 「息子さんは?」
渡邉さん 「違う。コツコツですよ。コツコツコツコツ。女房もM-1決勝進出を天国でお祝いしてると思いますよ」
スタッフ 「好きですか、息子さんの漫才は?」
渡邉さん 「大好きです。ハハハハハハ」
カレンダーを見ると、M-1決勝進出決定を隆から報告された12月3日の日付に丸が付いていた。そこに書き込まれていたのは「M-1決勝進出 バンザイ」の文だ。
北海道で小さな居酒屋を営みながらM-1決勝をテレビで見ていた錦鯉・長谷川まさのりのお母さん。そして、息子と同居しながら錦鯉を応援する渡邉さん。物理的な距離感は対照的だが、どちらの関係性も温かい。
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