新型コロナ禍での深刻な“税収不足”が鮮明 余波続き…税収見込み額さらなる引き下げも?
#税金 #新型コロナ #菅義偉首相
新型コロナウイルスの感染拡大が国の財政を直撃している。2020年4月から12月までの一般会計税収(累計値)は前年同時期を大幅に下回っており、税収不足が鮮明となっている。
財務省が発表した2020年4月から12月末までの一般会計税収(累計値)は31兆6549億円で、前年同時期の32兆4260億円から2.4%(7711億円)減少した。一般会計税収は6月には前年同月比15.9%増と大幅な増収だったが、その後は8月から12月まで前年同月比で減収が続いている。(表1)
この要因となっているのが、新型コロナの影響だ。
税項目別にみると、所得税と法人税の減収が大きく響いていることがわかる。
所得税は2020年9月以降、前年同月比で減収が続いており、12月分は前年同月の1兆5469億円から10.1%も減収の1兆3909億円だった。12月末累計値でも前年同時期の11兆7531億円から1.6%減収の11兆5617億円となった。
加えて、法人税は4月以降、増収だったのは6月のみで、それ以外の月では2ケタ減収が続いている。12月の法人税は前年同月の2388億円から21.1%減収の1866億円だった。12月末累計値でも前年同時期の5兆2725億円から16.0%減収の4兆4313億円となった。
年前半は前年所得に対する納税期となるため、通常は堅調に推移する。ところが2020年は所得税が9月以降に減収が続いており、これは源泉徴収分の所得税が減少していることによる。つまり、給与等による源泉徴収額が減少している=給与が減少していることを表わしている。
特徴的なのが11月の法人税の大幅減収だ。11月は3月決算企業の中間期決算を受けた納税期にあたる。2020年11月の法人税は前年同月の3兆7807億円から14.9%減収の3兆2168億円と大幅減収となった。さらに、12月にも前年同月比21.9%の減少となっている。これは、企業業績が悪化していることで、納め過ぎた税金の還付が増えたことが一因となっている。(表2)
このように、新型コロナの影響による企業業績の悪化が鮮明となり、それが法人税、所得税の減収を引き起こしている。
しかし、法人税や所得税が大きく減収しているにも関わらず、一般会計税収が12月末累計値で前年同時期の2.4%の減収でとどまっているのは、消費税の増益によるものだ。消費税は2019年10月に税率が8%から10%に引き上げられたことで、12月末累計値で前年同時期の8兆9199億円から9.6%の増益となっている。
新型コロナ禍によって、個人消費そのものは前年に比べて大きく低下しているものの、企業の支払い分が増加していることもあり、増税効果により税収が増加、下支えしている形になっている。
政府は2020年度第3次補正予算の編成に合わせて、2020年度の税収見込み額をそれまでの63.5兆円から55.1兆円に引き下げている。しかし、12月末までの累計値の状況等を勘案すると、55.1兆円の見込み額を一段と引き下げる可能性がありそうだ。
その場合には、税収不足を補うため、さらなる赤字国債の発行に踏み切らざるを得ないだろう。
新型コロナ感染拡大防止のため、年明け1月8日に政府は緊急事態宣言を発出した。さらに、当初の緊急事態宣言の解除見込みを延長することを決めた。これにより、飲食店の時短営業に対する協力金等、一段の財政支出が見込まれる一方で、税収不足により国の財政はさらに厳しいものとなるだろう。
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