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『プペル』を観た“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が西野亮廣に共鳴!「えんとつ町は出る杭は打たれる現代の日本社会を表している」

「おそらく西野氏は、ルビッチに自身を投影しているんですよ」

『プペル』を観たキング・オブ・アウトロー瓜田純士が西野亮廣に共鳴!「えんとつ町は出る杭は打たれる現代の日本社会を表している」の画像2
西野亮廣

――最終的には感動したんでしょうか?

純士 はい。後半は目を見張るほどのストーリーで感動的でしたし、西野氏の言いたいことが僕の心に刺さったんですよ。要するに彼が伝えたかったのは、「行動さえ起こせば、その先には自由が広がっていて、夢は叶う」ということ。

 煙に覆われたえんとつ町では、空を見上げることが禁じられている。だけど、ルビッチのお父さんは煙の向こう側に星があると信じて、そのことを紙芝居で伝えていた。ルビッチは、町のみんなに後ろ指をさされ、孤立しながらも、やがてゴミ人間との交流を通じて友情や行動の大切さを知り、「お父さんが信じていた星をこの目で見てやろう」と立ち上がる。

 つまり、えんとつ町は、出る杭は打たれる現代の日本社会を表しているんですよ。目立つ者や、新たな行動を起こす者が、とかく叩かれがちな昨今だからこそ、「周囲の声に縛られるな。もっと自由に立ち上がって、行動しろ。そうすれば道は開ける」と西野氏は伝えたかったんでしょう。おそらく西野氏は、ルビッチに自身を投影しているんですよ。彼もきっと幼少期から現在に至るまで、大きなことを言う度に周囲から笑われ、嘘つき呼ばわりされてきた人生だったはず。でも外野の声に惑わされず、自分を信じて行動を起こした結果、彼はいろんな夢を叶えることができた。そういう自らの成功体験を、あのえんとつ町の物語にうまく落とし込んだわけです。お見事だと思いました。マジで。

 また、「みんなから嫌われている人とも、先入観を持たずに友達になろう」という子ども向けのメッセージを盛り込んでいるあたりも、さすがだと思いました。が、行動することの大切さ、友情の大切さのほか、親子関係、そして政治など、あれこれ話を盛り込みすぎている印象もあったので、テーマをもうちょい絞ったほうが作品のインパクトが強まったのでは? と個人的には思いました。

 あと、終盤でちょっと残念だった点もあります。ルビッチをいじめていた奴らも結局、仲間に加わる展開になるんだけど、「その前にルビッチに謝れよ」と思いましたね。

麗子 純士は、筋道を重視する性格やからな。

――奥様はこの映画を観て、どのような感想を抱きましたか?

麗子 最初、ミュージカル調にみんなで歌い踊るシーンがあって、めちゃくちゃワクワクしたんですよ。ツカミはバッチリ! という感じやったんですが、その先は映画の3分の2ぐらいまで、ずっと退屈でキツかったです。登場人物の表情も乏しいし、動きも一昔前のRPGみたいにカクカクしとったから、なんだか引き込まれなくて……。

 ストーリーも薄っぺらい印象。ところどころジャブみたいに感動する場面はあったから、きっと西野さんは優しくて熱い思いのある人なんやろうなとは思うけど、ストレートがなかなか入らへん。眠くなる映画でした。でも、ルビッチのお父さんの登場シーンだけは目が覚めたし、泣けました。私、父子家庭で育っているので、父子の話に弱いんです。あのお父さんだけは、キャラに深みがあって、声にもメリハリがあって、とてもよかったです。

 というわけで、純士同様、お父さんの登場機会が増えてからは楽しめましたが、全体として思ったんは、「アニメにしては気難しい」ということ。西野さんはもしかしたら、ふざけることがあまり好きじゃないのかな? 全体的に生真面目というか、遊び心がない映画やな、と思いました。

純士 確かに、絵もストーリーもキャラ設定も、すべて常識の範疇に収まっていた感はあるね。もうちょい壊したり、遊んだりしてもよかったのかも。車の運転に例えるなら、事故寸前まで暴走するのがハリウッド大作なら、教習所で教わった通りに法定速度を守っているのが『プペル』。でも、そうなってしまうのも、わからないでもない。原作の絵本を作るための資金集めや、映画のチケットを全国の子どもたちにプレゼントする企画のためにクラウドファンディングを使って、ファンを大勢巻き込んでいるじゃないですか。そういう善良かつ純粋な人たちを納得させる内容となると、どうしても真面目なものになっちゃうんじゃないかな。

 絵本だったら、たとえ美談に持っていきすぎでも、たとえクサくても、「子ども向けだから」という理由で突っ込むことができなくなるけど、映画となると、ディズニーの超大作などと比較されてしまうのがツライところだね。

麗子 ディズニーは、愛とロマンと感動のスケールが、もっとデカイで! 喜怒哀楽の表情も豊かやし。

純士 確かにディズニーは一見幼稚だけど、実はむちゃくちゃ作りが緻密でしっかりしているもんなぁ。

――西野さんは「打倒ディズニー」を目標に掲げています。

麗子 無理や! 足元にも及ばへんわ。

純士 「無理」って声が多ければ多いほど、西野氏は燃えるんでしょうね。叩かれても夢を諦めなかったルビッチのようにね。

(取材・文=岡林敬太)

『えんとつ町のプペル』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 55点
麗子 30点

瓜田 純士(元アウトローのカリスマ)

1979年、新宿歌舞伎町生まれ。元アウトローのカリスマ。著書に『ドブネズミのバラード』(太田出版)、『遺書〜関東連合崩壊の真実とある兄弟の絆〜』(竹書房)など。

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Twitter:@Junshiurita

瓜田純士プロファイリング

うりたじゅんし

最終更新:2021/02/05 16:30
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