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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > RHYMESTERを取り合うyukarinとrisano

『フリースタイルティーチャー』鬼気迫るyukarinと陽キャのrisano、RHYMESTERを取り合う!?

‘成瀬とyukarinの“可愛い論”が共鳴!?’

 第2試合はyukarin VS risano。総当たり戦の最後にふさわしい実力者同士の対決である。ここでyukarinが勝てば全勝優勝、risanoが勝てばyukarin、risano、成瀬の3人が同率1位となり、三つ巴の優勝決定戦へ突入するという状況だ。

 先攻後攻じゃんけんで勝った場合、この番組では先攻を選ぶ者が多い。仕込んだネタを有利な状況で活用したいからである。でも、この2人に関しては後攻を取るケースが多いのだ。トップオブザヘッドでアンサーできる自信があるのだろう。それだけで2人のレベルの高さが窺える。そんな彼女たちにふさわしく、DJ CELORYも難しめのビートを選んだような気がした。1ラウンド目で印象に残ったのは以下の応酬だ。

risano 「yukarinさん マジで顔怖いっす せっかく可愛いのに」
yukarin 「よく見ろ お前よりやっぱ可愛い 怒ってても可愛いわ
     そうだろ 誰が見たって やっぱり私 
     可愛いアイドルを象徴してく」

 先ほどのバトル後に成瀬が言った「自分が可愛いと思ってりゃ可愛い」のコメントとyukarinのライムが自然に共鳴し合っているのが興味深い。やはり、「女性アイドルラッパー育成編」だ。第1ラウンドはyukarinが先取した。

 2ラウンドに入ってもyukarinは攻撃の手を全く緩めない。

yukarin 「でも やっぱHave Funだけじゃなかった
     この1カ月 不安しかなかったんだわ
     あと私 Have Funじゃなくて藤井ファン」

 頑なにディスを拒みHave Funに徹するrisanoに「私は羽生(善治)ファンじゃなくて藤井(聡太)ファン」と全否定したyukarinの意気込みに圧倒される。さらに彼女は行く。

yukarin 「お前のラップ マジで言ってたけど
      どれくらいリリカルか あたし 気になる」
risano  「さっきから リリカル リリカル リリカル
      lyrical school 耳貸すブーム
      どっちがヤベェかは声量じゃねぇ
      性能じゃなくてクオリティ それ」

 このときのrisanoの乗り方が文句なしにカッコ良く、CHICO CARLITOをどこか彷彿とさせた。鬼気迫るyukarinとは対照的にrisanoは陽キャのノリでガンガン行く。ちなみに「lyrical school 耳貸すブーム」は、lyrical schoolの楽曲『そりゃ夏だ!』からのセルフサンプリングである。2ラウンド目はrisanoが取り返した。

 突入した第3ラウンドは決着ラウンド。最終局面ではグループを背負って出場するお互いの意地が爆発した。

risano 「あなたと私の違い 15年やってきて 今ここ?
     私 まだ3年目でこのレベル You know?
     全然違うの そしてHIP HOPが好き 私に勝てるか?
    『ヤバいヤバい』言って何がヤバい?
     ハイパヨ マジ中身がない」
yukarin 「それは無理がある 中身しかねぇから15年やってんだわ
     売れてねぇのに15年やってんの マジヤバい サバイバー」

「中身しかないから15年やってきた」とは、とてつもなく強いアンサーだ。というかhy4_4yhは売れているし、普通に知名度もあると思うのだけど……。そう考えると、キャリア3年でここまでやってみせるrisanoのセンスに逆に敬服してしまう。ここからの2人のバトルは佳境だ。グループの面子の張り合いである。

yukarin 「しかと見とけよ マジで格の違い
      私もそう RHYMESTER師匠みたく
      キングオブステージを目指す」
risano 「ごめん RHYMESTERさんに キングオブアイドルラップ貰った
     あなたクイーンオブステージだよね?
     キングがトランプ 言ったら勝ち
     ごめん あなたの師匠いただいたし
     RHYMESTERさんからも認められてる
     lyrical schoolが今の時代」

 RHYMESTERの楽曲『Come On!!!!!!!!』の歌詞「しかと見ときな 格の違い」をサンプリングし、師匠筋のRHYMESTERにあやかってキングオブステージを目指すと宣言したyukarin。一方、risanoは在籍するlyrical schoolが宇多丸から「キングオブアイドルラップ」と称えられた事を誇った。両者がグループを代表し、RHYMESTERの取り合いのような様相へと化したのだ。そんな中でも、hy4_4yh相手に「lyrical schoolが今の時代」と堂々と言い放ったrisanoの自信はエグい。だが、ここからのyukarinが凄かった。

yukarin 「お前が貰ってるその称号 アイドルの枠の中での話
      私たちhy4_4yh貰ってんのは そう弟子
      その名刺 軽視しないように
      私 マジで酷使してやってきてんだわ 私がI’m戦士」

「名刺」「軽視」「酷使」で踏み続け、最後に「戦士」で締める硬い韻の流れは鳥肌モノである。両者、共にお見事! これは判定を付けるのが難しいな……と思っていたが、結果は1‐2でrisanoの勝利だった。つまり、2、3ラウンドを連取したrisanoがこのバトルの勝者! 正直言って、三つ巴の優勝決定戦を見たい審査員の心情から決した勝敗という気がしないでもないが……。判定が決した後、「納得いかないです」とyukarinはコメントしているが、それも含めて彼女のバイブスだ。この人の意気には引き付けられた。

 次回は、なんと三つ巴の優勝決定戦。ちなみに、3人の勝敗を確認すると興味深い事実がわかった。yukarinは成瀬に、成瀬はrisanoに、risanoはyukarinに勝利しているのだ。まさに、ジャンケンみたいな相性!

 筆者が個人的に期待するのは成瀬である。総当たり戦を通じ見違えるように進化しているし、毎バトルで新しいフロウに挑戦している。ゾーンに入った彼女はHIP HOPの枠に収まらない何かを生み出しつつあるように見えるのだ。

 そして、この1stバトルが終わったらティーチャーをシャッフルしての2ndバトルにもぜひ突入してもらいたい。数をこなして全員の経験値の差が埋まれば、そこからはハンディキャップなしである。より白熱した闘いを見せてくれるに違いない。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/02/03 19:00
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