RAIN(ピ)とJYPの質実剛健なニュージャックスウィング! NCT127の新曲と比較して「90’sリバイバル」を考える
#ヒップホップ #K-POP #J.Y.Park #NCT127 #R&B #パク・ジニョン
みなさん1月27日(“127”ですよ!)に公開されたNCT127の新曲「First Love」はもう聴かれましたか? サウンド的には昨年発表された傑作アルバム『NEO ZONE』の流れを汲んだ1990年代前半を思い起こさせるミッドテンポのR&Bでしたね。
前半で印象的なのはノーティ・バイ・ネイチャーの「Hip Hop Hooray」をオマージュした「ヘーイ・ホーウ」という掛け声。後半はスヌープ・ドッグの1stアルバム『Doggystyle』を彷彿させるピーヒャラと鳴り響くG・ファンクなシンセサイザー。どちらも1990年代前半のヒップホップクラシックです。
面白いなと思ったのは、この曲は90年代アメリカの東海岸と西海岸のアイコニックなエレメントを合体させたこと。アメリカは国土が超絶広いので一口にヒップホップと言っても、実は地域によって鳴らす音が全然違います。土地の特徴が反映されちゃうんですね。
ヒップホップが生まれたニューヨークはアメリカの北で東海岸側。ノーティ・バイ・ネイチャーはニュージャージーのグループだけどニューヨークのトミーボーイから作品をリリースしていました。「Hip Hop Hooray」は当時、ヒップホップという枠を超えてヒットしました。当時ロックしか聴いてなかった僕ですら「ヘーイ・ホーウ」は知ってた。
NYはビルが乱立する大都会。クールでスタイリッシュな感じがする。一方のLAは南の西海岸側。NYとは対角線の反対に位置しています。あたたかくて、家も道も何もかもがとにかくデカくてゆったりしてる。そういう街の雰囲気は当然サウンドにも影響されます。『Doggystyle』をリリースしたデスロウはLAを拠点にしていました。この作品をプロデュースしたのはドクター・ドレ。彼はヒップホップ以前にLAのディスコシーンで活躍していたため、サウンドにファンクやソウルがある。だからG・ファンクには生楽器っぽい音の質感がある。ちなみに、彼はのちにヘッドフォンブランド「Beats by Dr.Dre」を設立。会社をAppleに売却してビリオネアになりました。
はっきり言って当時の東と西はヒップホップ的にむちゃくちゃ仲が悪かった。それを知ってる世代からすると1曲の展開の中で東と西が混在している「First Love」はあり得ない。この曲があと数年早く出てたら、僕も「節操なさすぎ!」って思っちゃったかも。けど時代はすっかり進んで、音楽において、歴史はただのテキストになり、素晴らしい音はすべてサンプリングのソースになりました。
2010年代はダブステップ~EDMに代表されるハイファイな音が主流でした。そこからトラップに派生して、それがヒップホップのオーソドックスになった。そこがデジタルネイティブ世代の青春だとしたら、そろそろ新しい音を追求したくなる。そこで今新鮮なのがレコードからサンプリングして曲作りをしていた90年代の柔らかい鳴りなのだと思います。ハイファイからローファイへといったところでしょうか。「First Love」がEDMから派生したムーンバートンに始まり、G・ファンクで終わる展開はまさに現代の気分なのかと思いました。
そう思えるようになったのが、みんな大好きJYPことパク・ジニョン大先生が、盟友である後輩のRAIN(ピ)へ13年ぶりに楽曲提供した「Switch to me(duet with JYP)」のMVを観てから。何はともあれ、まずはMVを。必ず字幕付きでご覧ください。
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