ポスト菅 究極の隠し玉として浮上する人物…“キングメーカー”二階派が押すのは脛に傷ありの甘利?
#政治 #菅義偉首相 #野田聖子
2020年9月の発足時には高い支持率を誇っていた、菅義偉首相の人気急落が止まらない。
朝日新聞社が1月23、24日に実施した全国世論調査(電話)によれば、菅内閣の支持率は33%(20年12月は39%)に下がり、不支持率は45%(同35%)に増えて支持を上回った。20年9月の発足直後に65%だった支持率と比較すれば雲泥の差で、わずか4カ月での凋落ぶりははたで見ていても驚きだ。
菅首相が「9月の総裁選には出馬しない」が、今や永田町のコンセンサスになりつつある。辞任の仕方、タイミングについてはさまざまな説が浮上しているが、自民党関係者によれば、以下のシナリオが「最も常識的に考えらえる」という。
4月に予定されている衆参二つの補欠選挙で自民党が連敗する。衆議院の北海道2区の方は、収賄の罪で在宅起訴された吉川貴盛元農林水産大臣の議員辞職に伴うもので、候補者擁立を見送るので不戦敗による一敗がすでに確定している。参議院は立憲民主党の羽田雄一郎氏が20年12月に死去したことに伴い行われる参議院長野選挙区の補欠選挙。自民党は元衆議院議員の小松裕氏を公認候補として擁立することを正式に決めたが、「改選数が一つ減った2016年と前回19年は参議院選で野党候補に連敗した。今度は玉砕覚悟の戦いだ」(長野市在住、自民党長野県連関係者)とこちらも悲観論が先行する。
公職選挙法違反の罪で、1月21日に有罪判決を東京地裁で言い渡された参議院議員・河井案里被告が議員辞職すれば、参院広島選挙区も補選の対象となってくる。しかしながら、これは表向き、河合議員に辞職を求めても、4月の補選3敗は逃れたい自民党執行部が水面下で動き、河合議員にはもうしばらくの間、議員でいてもらうだろう。
こうした状況に、コロナ禍による五輪中止が加われば、「菅首相は総裁選を待たず、間違いなく辞職する」と先の自民党関係者は見立てる。
帯に短し襷に長しのポスト菅の候補たち
本人自身による特に目立った失政があるわけでもないが、発言力のなさと全国レベルで新型コロナウイルスの感染者が増え続けるなどしているため、菅首相は市民単位で嫌われ始めている。それと同時に、何人かの名前がポスト菅として浮上し始めた。
菅首相が自らの後継者に育てようと、行政改革担当大臣、新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣に任命した河野太郎氏。今後、どう化けるかにもよるが、自民党関係者の間からは「(首相には)危なかっしい」と懸念する声が上がっている。
河野は防衛大臣時代に、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画をいきなり中止した。迎撃ミサイルの発射の際に切り離されるブースターを演習場内など安全な場所に確実に落下させられない「技術上の不備」を理由に挙げたが、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を2019年春まで務めた河野克俊は「何よりも優先すべきは(北朝鮮などからの)ミサイル攻撃から国民を守ること。ブースターを理由に停止するのは理解に苦しむ」と強く反論した。
与党の防衛族の1人も「迎撃ミサイル発射後に切り離されるブースターが民家に落ちるならシェルターをつくり避難させればいい。日本の領土に核ミサイルが落ちてくる危険と民家の屋根に穴があく危険は比較できないはずだ。そんなことすら分からないのなら河野に総理になる資格はない」と河野の宰相としての資質に疑問を呈す。
経済再生担当大臣と新型コロナ対策担当大臣として連日、テレビに登場する西村康稔も候補の1人だが、自民党内の評は「軽すぎる」、「評論家は要らない」などあまり芳しくない。
大穴候補として、野田聖子幹事長代理の名前も一時浮上した。こちらは二階俊博幹事長が10月までには確実に行われる「総選挙の”顔“に擁立を画策している」との噂がまことしやかに永田町界隈を流れた。初の女性首相候補となれば、それなりに話題となりブームも呼び起こせたかもしれない。
しかし、野田については1月24日行われた岐阜知事選で辛うじて、自らが推す現職の古田肇知事を5選させたものの、県議会最大会派の県政自民クラブの一部県議を元内閣府官房審議官の江崎禎英支持に走らせ、54年ぶりの「保守分裂選挙」を招いたため、統治能力、政治手腕を疑問視する声が上がっている。
選挙後、野田は自民党岐阜県連会長辞任を表明し、元から「大穴」狙いだったとはいえ自ら次期総裁候補の芽を摘んだ。
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