文科省と厚労省発表の “就職内定率”で深刻な結果 リーマン・ショックを上回る悪化で新就職氷河期突入へ
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新型コロナ版就職氷河期はどうなるのか
リーマン・ショック時には、新卒採用の就職率の影響は8年に及んだことを前述した。新型コロナ禍においても、新たな就職氷河期の到来が避けられないものとなりそうだ。それは、日銀の短期経済観測(短観)の新卒採用計画からもわかる。
12月調査の日銀短観の新規採用計画では、20年度(21年3月卒)の採用計画が、19年6月調査時から12月調査時、20年6月調査時、12月調査時と時系列に悪化していることがわかる。(表3)
例えば大企業の計画では、前年度比2.9%増→1.8%増→0.7%減→1.5%減と悪化、中堅企業では1.3%増→0.8%減→2%減→3.5%減と悪化している。人手不足と言われている中小企業ですら、10.3%増→8.8%増→2.5%増→2.9%減と新卒採用が減少に転じている。
より心配なのは、21年度の新卒採用計画だ(表4)。20年6月調査時に大企業は前年度比4.8%減だったのが、12月調査時には7.5%減となっている。中堅企業は9%減から10.2%減に悪化、中小企業は4.3%減から2%減に改善しているものの、軒並み前年度採用減となっている。
しかも、この調査は20年12月のものだということを忘れてはならない。21年の年明け1月8日には、政府が再び緊急事態宣言を発出している。これにより、経済状況が再び悪化し、企業業績に影響が出ることが考えられる。となれば、この日銀短観よりも企業の新卒採用計画は一段と厳しいものになる可能性は高い。
人の生活、人生を決める大きな要素の一つでもある“就職”が、経済動向や新型コロナのような災厄によって左右され、たまたま同時期に就職期を迎えた新卒者のその後の人生に大きな影響を与えるのは、何とも割り切れないものだ。
政府や企業経営者は、いまだに根強い“新卒神話”での採用から柔軟な採用方針に変化することで、新たな就職氷河期の到来を回避する努力をするべきだろう。
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