文科省と厚労省発表の “就職内定率”で深刻な結果 リーマン・ショックを上回る悪化で新就職氷河期突入へ
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新型コロナウイルスの感染拡大は、我々の雇用にも深刻な影響を与えている。非正規雇用者を中心に大量の失業者が発生している。加えて、企業の新卒採用にも大きな影響が出始めている。新たな“就職氷河期”の到来は避けられない状況になってきた。
文部科学省と厚生労働省は1月15日、2021年3月に卒業を迎える大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の計112校、6250人の就職内定状況の調査を発表した。
この調査は2021年3月卒業予定者の就職内定状況を20年10月1日、12月1日、21年2月1日、4月1日(就職率)と追跡調査しているものだが、前半12月1日時点の就職内定率が急激に悪化している。
報告によると、21年3月卒業予定者全体の就職内定率は80.6%と前年同期比で5.6ポイントも低下した。この80.6%という水準は、08年3月卒の内定率(80.4%)に近い。08年にはリーマン・ショックが発生しており、09年3月卒からは就職内定率は急速に悪化する。(表1)
つまり、2021年3月卒の内定率がこれ以上に悪化すると、リーマン・ショック時と同様の状況に進む可能性が強まる。リーマン・ショック時には、新卒就職内定率が2008年3月卒と同様の内定率にまで回復するのに8年間もかかっている。
学校種別では、大学が82.2%(前年同期比4.9ポイント低下)、短期大学女子が57.6%(同14.4ポイント低下)、高専が97.1%(同1.6ポイント低下)、専修学校が64.4%(同11.7ポイント低下)となっている。(表2)
特に、短大女子の内定率悪化が目立つ。リーマン・ショックの影響でも、内定率の低下は09年の56.9%か010年の47.4%と9.5ポイントの低下だったが、21年は14.4ポイントも下落しており、リーマン・ショック時の影響を上回る悪化となっている。
この状況が続けば、4月1日時点の就職率は、かなり厳しいものになるだろう。過去10年で最も大卒の就職率が低かったのは2011年3月卒の91.0%だが、この就職率はあくまでも“就職希望者”に対する就職者の割合を示すものだ。たとえば、11年3月大卒の場合、就職希望者数37万1000人に対して33万7000人が就職したため、就職率は91.0%となった。
しかし、実際の同年3月の大学卒業生は55万5000人なので、就職者数の33万7000人は、卒業生全体の60.7%でしかない。これが実際の就職率ということになる。
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