お蔵入りしていた酒井法子の復帰作『空蝉の森』帰ってきた女は、中身が異なる赤の他人だった!?
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久しぶりに再会した女は、以前とは違う別人だった。酒井法子主演作『空蝉の森』は、失踪していた妻の秘密をめぐるサスペンス映画だ。2014年に撮影は済んでいたものの、製作会社「ニューウェーブ」が倒産したためにお蔵入り状態に。追加撮影を経て、ようやく劇場公開されることになった。09年に失踪騒ぎを起こした酒井法子にとって、裁判員制度の広報用映画『審理』(08)以来となる映画出演作となる。
映画やTVドラマの世界では、家族が別人になって帰ってくる物語がたびたび描かれてきた。実在の事件をベースにした『ジャック・サマースビー』(93)では、戦争から帰ってきた夫は別人となっていた。江戸川乱歩の小説『パノラマ島奇談』を井上梅次監督がテレフィーチャー化した『天国と地獄の美女』(82)では、死んだはずの夫が墓場から甦った。妻は夫の異変に気づくが、何事もなかったかのように新しい夫を受け入れていく。
酒井法子が演じる主人公・結子は、謎だらけの女性だ。冒頭、結子は夜明け前の薄暗い県道を裸足で歩いている。疲れ切った、やつれた表情の結子。警察によって保護された結子は、3カ月ぶりに夫・昭彦(斎藤歩)のいる自宅へと送り届けられる。失踪中の記憶は、まったくないと言う。
無事に妻が戻ってきたものの、昭彦はうれしそうではない。喜ぶどころか、「お前は誰だ?」と冷たい言葉を結子に向かって浴びせる。顔は結子そっくりだが、どこかが違うらしい。「私は結子だよ」と女は繰り返すが、昭彦は認めようとしない。
失踪事件を担当する地元警察署の假屋警部(柄本明)、昭彦のかかりつけの精神カウンセラー・山井(西岡徳馬)らが間に入るが、夫婦間の溝は埋まりそうにはなかった。結子のどこがどう違うかははっきりしないが、「夫婦だから分かるんです」と昭彦は主張する。はたして、嘘をついているのは結子なのか、それとも昭彦なのか? もし、嘘をついているのなら、何のために嘘をついているのか? 昭彦の愛人(長澤奈央)、この地域で多発する失踪事件を追いかけるルポライター(金山一彦)らが現れ、真相は二転三転することになる。
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