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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 米国「水素トラック」誕生のはずが詐欺!?

アメリカでついに水素で動くトラック誕生!……のはずが詐欺スキャンダルへ!?

悪用ばかりじゃない? コロナで苦境のエアービーも

「別にSPACが悪いんじゃないぜ。高い手数料と時間が発生する旧来のIPO(株式上場)に対する、新しいアプローチだと評価するべきだ」(米メディア記者)

 実はこれは、ニコラのような怪しいベンチャーの受け皿になった一方で、シリコンバレーの有名投資家なども次々と参加を表明しているのも事実だ。たとえば、2019年にSPACによって上場した「ヴァージン・ギャラクティック」は、かの有名なヴァージン・グループ創業者がつくった、宇宙旅行ベンチャーのパイオニアだ。

 このヴァージン・ギャラクティックの上場によって、SPACブームに一気に火が付いた。

 有名ヘッジファンド創業者であるビル・アックマン氏は、これを使って約40億ドル(約4200億円)という金を集めて、民泊サービスの「エアービーアンドビー」の買収を狙っていたとされる。

 新型コロナによって、有名ベンチャーのエアービーアンドビーも苦しい経営を強いられており、そうしたベンチャーをSPACで一気に上場させようというアイディアだろう。

 変わり種でいけば、世界的ベストセラーになったノンフィクション『マネー・ボール』の主人公であり、現在はメジャーリーグ球団の副社長のビリー・ビーンも話題になっている。

 彼はこのスキームを使って、ヨーロッパのプロサッカーチームの買収合併を計画しているとされる。具体的に、プレミアリーグのリバプールと交渉中だという話まで漏れてきているから驚きだ。

「結局、世界ではお金が大量に余っており、良い投資先を求めて、SPACのような仕組みにお金が流れ込んできているのです」(渡辺氏)

 実はニコラだけではなく、アメリカでは本物か偽物か、区別のつかないEVメーカーが続々とSPACによって上場している。

 フィスカー(2020年7月上場)、ローズタウン・モーターズ(2020年8月上場)、カヌー(2020年8月上場)と、まるでお祭り騒ぎのような上場ラッシュに沸いているのだ。

 そこから一社でも「本物」が生まれたら、ニコラのスキャンダルも、必要悪だったとみなされるのかもしれない。

後藤直義(ごとう・なおよし)
1981年生まれ。青山学院大学文学部卒。毎日新聞社、週刊ダイヤモンドを経て、2016年4月にソーシャル経済メディア『NewsPicks』に移籍し、企業報道チームを立ち上げる。グローバルにテクノロジー企業を取材し、著書に『アップル帝国の正体』(文藝春秋)など。

最終更新:2021/01/28 07:00
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