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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > スマートニュースの「現地調査」

米国で月間1000万人が使っているスマートニュースの「恐るべき現地調査」

フェイスブックの「逆を行く」アメリカ版新機能

 典型的な米国人は、米国には存在しない──。繰り返しの現地調査でそう悟ったスマートニュースは、多様な米国社会により刺さるような、新機能を次々と生み出してゆく。

 たとえば、一人ひとりの興味に合わせながらも、新しい発見につながるニュースを挟み込む「For You」という新機能(2017年9月)は、大きなヒットになった。また、リベラル(左寄り)から保守(右寄り)まで、アプリ画面下のスイッチをいじるだけで、異なる政治的立場のニュースを読める「ニュース・フロム・オール・サイド」(19年10月)も同様だ。大手ニュースメディアに比べて、根強いユーザーを持つ米国の中小零細のローカルメディアの魅力にも気づいて、次々とパートナーシップを強化していった。

 その結果、フェイスブックやツイッターのように「あなたの好きなコンテンツだけ見せる」だけではなく、「あなたがストレスを感じるようなコンテンツも、同時に見せる」という、流行とは逆張りのアプリに成長していった。実際にシリコンバレーに住んでいる私も、このスマートニュースを最近愛用している。自分が興味を持っているテクノロジー関連の情報だけではなく、地元のレストランであったり、地域のニュースなど、多種多様なコンテンツに出会えると実感しているからだ。もともと研究者であった鈴木氏は、米国社会に対する思いをこう語っている。

「民主主義のために、ニュースアプリに何ができるかを、いつも考えている」

 ちょっと聞くだけだと、単なる理想家の言葉に聞こえるかもしれない。しかし、スマートニュースのCEOは、驚くような行動力で、米国の奥地を旅し続けている。そこには、ちょっとした迫力があるのだ。もし日本版スマートニュースしか使ったことがない読者は、チャンスがあれば、このディープな調査旅行によって「変貌」した、米国版アプリも使ってみるといい。そこでは鈴木氏が旅で目にしたような、複雑さを反映したニュースたちが、タイムラインに流れ込んでくるはずだ。

後藤直義(ごとう・なおよし)
1981年生まれ。青山学院大学文学部卒。毎日新聞社、週刊ダイヤモンドを経て、2016年4月にソーシャル経済メディア『NewsPicks』に移籍し、企業報道チームを立ち上げる。グローバルにテクノロジー企業を取材し、著書に『アップル帝国の正体』(文藝春秋)など。

最終更新:2021/01/26 09:00
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