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大麻乱用者増加の背景にコロナ禍? データが示す大麻と巣ごもり生活の親和性

周囲の知人が大麻の抑止につながる?

「最初の緊急事態宣言が出た時期はちょうど前の会社を退職した頃で仕事がなく、外出もままならないので毎日のように大麻を吸っていました。ニュースを見たり友人と連絡をとったりすると嫌な出来事ばかり耳に入るので、延々とキマった状態で動画配信サイトのドラマやアニメを見ていました。キマっていると作品にとにかく没入できるので、いやなことを考えず済んだのです」

 男性が語るには、「自分は大麻をコントロールできる」と思っていたという。もともと大麻を吸い始めたのは数年前、クラブで知り合った売人から購入し、以来一カ月に一回、吸う程度の頻度だった。やめようと思えばいつでもやめられる、そう信じていたが、巣ごもり生活が長引くほどに大麻への欲求は高まっていった。

「気づくと毎週のように売人に連絡をしていました。何度目かのやり取りのとき、それまで1グラム3000円だったのを5000円と言われました。需要が高まっているから値上げしたのだと。蓄えはあまりなかったのですがそれでもずるずる買い続けてしまった」

 大麻をやめるきっかけとなったのは、友人たちとのZoom飲みだったという。

「久々に顔を見る友達もいて、とても楽しかったのですが、飲み会が進んでいくとどうしても大麻を吸いたくなりました。そして『急な仕事が入ってしまった』と嘘をついて退席したのです。その後に大麻を吸ったときの精神状態は最悪でした。友人の顔がフラッシュバックして、たかが大麻のために嘘をついたということに強い罪悪感を感じた。さらにこの時期、大麻の逮捕者が増えているというニュースを見て怖くなり、手元にあった大麻を全てトイレに流しました」

 先行きの見えないトンネルを行くかのようなコロナ禍の生活は、確かに大きな不安を伴う。大麻は不安を和らげると謳われ、魅力的にうつる向きもあるだろう。そこで胸に留めたいのは、それは単に現実からの逃避であり、そもそも犯罪であるということだ。先行きが見えない現状だからこそ、現実を直視する強さが求められる。

小神野真弘(大学講師・ジャーナリスト)

ジャーナリスト。日本大学藝術学部、ニューヨーク市立大学ジャーナリズム大学院修了。朝日新聞出版、メイル&ガーディアン紙(南ア)勤務等を経てフリー。貧困や薬物汚染等の社会問題、多文化共生の問題などを中心に取材を行う。著書に「SLUM 世界のスラム街探訪」「アジアの人々が見た太平洋戦争」「ヨハネスブルグ・リポート」(共に彩図社刊)等がある。

Twitter:@zygoku

最終更新:2021/01/24 20:00
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