『麒麟がくる』ジャニーズJr.が演じる織田信長の長男、その死が織田家の運命を変えた!?
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“したたかさ”に決定的に欠けていた信忠の悲哀
信忠と明智勢が交戦していたのは、信長の遺体が本能寺で見つからずじまいだと、明智勢が認めざるをえなくなった「本能寺の変」当日の午前9時以前のことです。おそらく本能寺が炎上した後も、当地を取り囲んでいたであろう1万を越す明智軍本隊は、ほとんどそこを動かず、逃げ出してくる者がいないかを監視していたのでしょう。つまり、織田信忠のことは、明智光秀はあまり気にしていなかった……と言えるかもしれません。
二条御所炎上の時点でも信忠の介錯役だった鎌田新介さえ脱出できたことを考えれば、信忠自身も死んだりせず、逃げだすことも十分可能だったはずです。
しかし『信長公記』の記述にあるように、織田信忠は「かようの謀叛に、よも逃し侯はじ。雑兵の手にかかり侯ては後難無念なり。ここにて腹を切るべし」などと言ったそうです。
「明智勢を前に逃亡できる可能性はないだろう。くだらない兵に殺されるくらいなら、ここで自害したい」という意味で、最初から逃亡の可能性を自らの手で退けてしまっていました。自分は織田信長の嫡男であり、そんな自分を明智勢は絶対に逃さないという強すぎるプライド、自意識の高さも正確な判断を下すのに邪魔していたのでしょうか。
彼は「一本気」の武将だったといわれていますが、一方で乱世のリーダーの座を、父・信長から継承できるほどの器ではないというか、“したたかさ”に決定的に欠けている人物のような気もします。
ちなみに享年は26歳。現代ならばジャニーズJr.のメンバーが演じてもおかしくはない“若さ”ですが、当時の年齢感覚であれば四十代手前の男性に相当しますから、個人的にはもう少し思慮深い雰囲気の方でも良かった気がします。
信忠は自身の介錯役になった鎌田新介に「私が死んだら、遺体を妙覚寺の床下に移して明智勢に発見されないようにしてくれ」と遺言したそうですが、その指示をどうやら守ってからでさえ、鎌田は無事逃げおおせていることを考えれば、そもそも信忠自身が逃げてさえいれば、それが後の織田家にとっては一番良かったわけですが……(少なくとも、秀吉の思うがままにはされなかった可能性がある)。
ちなみに、木造建築が燃え上がる時の1000度前後の温度、数時間程度の火事では人間の身体が灰になって消え去るようなことはありえません。ですから、織田信忠の遺体が本当に見つからなかったというより、多くの部下が彼と共に二条御所で討ち死にしており、その遺体に紛れて「どれが織田信忠か明智勢にはわからなかった」というあたりが、真実だったのであろうと思われます。
これは本能寺の焼け跡で織田信長の遺体が発見できなかったということについても同じことが言えるのですが、それはまた別の機会に。
井上瑞稀さんが織田信忠の「一本気」をどう演じていくのか、楽しみです。
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