日本テレビは“日テレ”を過信しすぎている──『ネタフェス』の失敗と『M-1』恋愛ネタの賞味期限
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「#女芸人しか勝たん」ハッシュタグがキツイ
タカ 言い方が難しいんですが、Aマッソは期待値がやけに高くなってると思うんですよね。もっとキレキレのネタをする女性芸人はほかにもいるのに……。そういう意味でも、優勝した吉住は面白かった。デブネタ、ブスネタ、恋愛ネタをそのまま扱っているものがまだまだ多い中で、一歩踏み込んでいました。ただ、全体でいうとそういう点では去年のほうがちょっと良かった気がします。世の中の歩みの進み方に比べると、歩みが遅い。
ユージ 今大会だとオダウエダが一番面白くて好きでした。純粋に自分たちの発想を信じてやりきっているところがとても良かった。関西の劇場の匂いを感じました。
タカ たしかに、彼女たちは面白かった。女であることの空気感はちゃんとありつつ、「男になんか負けない」みたいに肩肘張った感じもないし。それがいけないってことではないんだけど、ネタに透けているとどうしても見づらくなってしまうじゃないですか。オダウエダはとぼけた雰囲気が自然に出ているところも、あまり女性芸人では類を見ないかなと思います。
ユージ 初年度はどうなることかと思いましたが、審査員のラインナップも真面目に審査しようという姿勢が見えてきて、番組としても年々良くなっていってますよね。
タカ ただ今大会は公式SNSが「#女芸人しか勝たん」ハッシュタグを盛り上げようとしていたのがちょっと……。男性芸人が多い大会だったらそんなことしなくないですか?
ユージ 『R-1』あたりはやりそうですよ。
タカ やりそう(笑)。結局どっちもそういう中途半端さが、賞レースとしての格を下げてるんだと思います。見てるほうにも伝わるじゃないですか。『M-1』で「漫才師しか勝たん」なんてやらないでしょう。
ユージ 『M-1』のネットの活用法って全然違いますもんね。年々ネットに開かれた状態になっていって、上手だな~と思います。2020年は準決勝当日になって急に配信を行うと発表して、批判されてましたが。映画館でのライブビューイングとはわけが違うから、そこはもっと慎重になってほしかったです。『M-1』(テレビ朝日系/20年12月20日放送)はどうでした? 僕は、例年通り楽しかったけど、あれこれ語りたくなるには物足りないかなと。だから「これは漫才なのか」論争なんていうどうでもいい議論が白熱したんじゃないかと思ってます。
タカ 私はウエストランドがしんどかったですね。何年も前からやってるネタじゃないですか。内容的にも、モテないことを女性のせいにしている暴力性が怖い。そもそも「モテ/非モテ」ってテーマとしても古いでしょう。
ユージ それはそうです。僕はそれでいうとアキナのネタが唯一面白くなかったです。あの年齢で「好きな女の子がいる」ネタって厳しいですよ。もちろん、何歳になったって恋愛してていいんですけど、漫才でやるからにはそれなりのひねりがほしい。
タカ 恋愛ネタはやっている側が常識とか「こうあるべし」っていう部分をどう捉えているかが見えやすいから、技術があっても陳腐化しやすいんですよね。観ている側も知らず知らずのうちに価値観が変わっていってるじゃないですか。よくある入りや設定だからこそ、やるならめちゃくちゃ考え抜かないとならない。マヂカルラブリーは、そういうのをすっぱりやめているところが新鮮だったのかもしれません。
ユージ マヂラブのネタはいつも思い切りの良さがすごくて好きですね。一方で『M-1』後に語っているネタ選びなどの裏話を聞くと戦略もしっかりあって、勝つべくして勝ったんだなと思いました。そういえば、村上が優勝直後に足を怪我したのって『ネタフェス』の収録でしたよ! 本当にやめてくれ!
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