『世界SF作家会議』人類は「チーズケーキ」で滅亡する? SF作家ならではの振り切った主張「愛は地球を救わない」
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‘人類のしぶとさを蚊で喩える!?’
最後の出番となった新井は、思いっきりちゃぶ台をひっくり返した。何しろ、彼女が提示したのは「人類は滅亡しない」という回答なのだ。
「人類社会は簡単に滅亡すると思うんですよ。太陽フレアがド~ッと来ちゃって電気が1カ月も止まったら社会自体はズタズタになると思うんですね。でも、生命体としての人類を考えたとき、哺乳類としては異常な数が世界のどこにでもいます。これだけ数がいて、これだけ色んなところにいたら、どこかの社会が絶滅しても他のところは頑張って生きてる。ならば、文化がなくなっちゃってもどこかで生き残った人が頑張って船に乗ってそっちに行くとかね」(新井)
大前提を覆す回答だけども、だからこそ優しい世界観だ。彼女が貫くのは「こう考えれば人類は滅亡しない」のベクトルだった。
「人類のせいで様々な動物が日々絶滅してるじゃないですか。でも、昆虫の蚊はなくそうと思ったってどこかで生き残ってる。これだけ数がいて、これだけ広がってるから、人類も同じことができると期待しております(笑)」(新井)
人類のしぶとさを蚊で喩える新井、さすがだ。ここから、話題はやっぱり「人類」「人類滅亡」の定義に発展していった。
小川 「僕たちが今持ってる豊かな暮らしを失うことを勝手に“滅亡”と捉えてるだけで、新井さんが言うように文化や技術が消滅しても種として生きるだけなら地球がある限りいけるんじゃない? みたいなのは、確かにその通りだと思いました」
高山 「先ほどのポストヒューマンもそうですけど、何をもって人類と言うか? 何か人類っぽい痕跡を残しているものが生き残れば人類としてカウントしていいとなると、放射線やマラリアに強い生き物が出たり。進化ってグラデーションなので、じわじわ違う生き物になっていくのではないか」
藤井 「ポストヒューマンってデジタル化した人類も含みますからね。存在が情報化しちゃうとか。肉体を捨てることになった人たちはずっと生き残ると思いますしね」
新井 「それって、『生きてるってどういうことなんですか?』になっちゃうよね」
哲学的な話になるとキリがなくなってしまう。「人類の滅亡」についての持論をもっと聞きたかった、そんな気がしないでもない。
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