『世界SF作家会議』人類は「チーズケーキ」で滅亡する? SF作家ならではの振り切った主張「愛は地球を救わない」
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‘「人類」の定義と「ポスト人類」’
前回は海外から参加したSF作家は1人だけだったが、今回は3人に増えた。ようやく「世界会議」にふさわしい布陣になってきたか? 最初に登場した海外作家は、アジア人として初めてヒューゴー賞を受賞した劉慈欣だ。
「(人類滅亡の)可能性は大きく2種類に分けることができるでしょう。一つは『自然がもたらす滅亡』、もう一つは『人間自身がもたらす滅亡』です」(劉)
続いて登場したのは、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の3冠を達成したケン・リュウ。彼はまず「私は楽観主義者なので、人類が災害で滅びるとは思いません」と立ち位置を表明し、それからスピーチを始めた。
「人類が地球から姿を消す日がいつか来るとも思っています。それは、きっとこのように起こるでしょう。私たちは人類の歴史上はじめて自身の運命を操り、進化の過程を導ける段階にいます。生物学的操作や遺伝子工学、テクノロジーと機械の緊密な融合を通して現代の人類には不可能なことを私たちの子孫は実現させるでしょう。私たちはより強く、賢くなり、病気への抵抗力も増しているでしょう」
「私たちの子孫が現代の私たちと全く違った存在になった時、私たちはもはや彼らを『人類』としてではなく、『ポスト人類』として捉えることでしょう」
人類の滅亡は人類の進化によってもたらされる、非常に面白い意見だ。ケン・リュウのこの主張から話は思わぬ方向へ展開した。新井が口を開く。
「ケン・リュウさんのポストヒューマンって、人間から出てきたものだから人類に混ぜちゃだめ? 『これも人類の一種じゃん』って思えば、滅亡しなくて済むんではないかと(笑)」(新井)
つまり、どこまでを人類と呼んでいいのか? という「人類」の定義づけの問題へ発展していったのだ。ところで、人類を脱却した「ポスト人類」はいつ生まれるのか?
新井 「(ケン・リュウの主張は)100年や500年のタイムスケールじゃないよね。ましてや、意識まで違うってなったら3~4世代じゃないですもんね」
藤井 「でもね、モラルって10年くらいで進化しますよ。私たちの子どもは私たちの父親みたいな暴力性は恐らく持てないですよね、そういう暴力を見てないから。灰皿投げつけたりとか(笑)」
小川 「ケン・リュウさんの言い方を素朴に捉えると、モラルが発達してパワハラ親父みたいなのの生きる場所がなくなって滅亡したら、それは新人類にとっていいことだよね、みたいな話ともとれるというか。割と何年間かの短いタイムスケールでも起こることなのかな」
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