『えんとつ町のプペル』は、ビジネス書をそのままアニメ化した信者ホイホイ!? 信者vsアンチのレビュー合戦も
#アニメ #キングコング #西野亮廣
世界観はいいので“ミリ知ら”遊び向き?
B氏:絵本がアニメになったものを見に行ったつもりだったんですが、終わってみれば「自己啓発系ビジネス書を、絵本というクッションを挟んでアニメ化したもの」だったなという感想しか残りませんでした。どうしても言いたい説教臭いセr……ではなく、主張したい言説を無理やり、アニメのキャラクターの誰かに言わせるシーンのために前後のシーンがあるんじゃないかぐらいの。
A氏:西野氏の常日頃の主張まんまでしたね。大多数の声に惑わされるな、情報を得て、誰になんと言われようと気にせず行動しろ! 的な。この映画が好きだという人は、“マスコミが報じない真実”みたいなフェイクニュースにすぐひっかかりそう。
B氏:『真相深入り! 虎ノ門ニュース』みたいなメディアに群がってる人のことですね。陰謀論や“俺だけが知る真実”大好き系。
A氏:心ある少数だけが“この世界の真実”に気づき、危険を犯して皆に知らせる……という作品なので。あの人たち、そういうの好きじゃん。
B氏:コロナは嘘だと主張するノーマスク・ノー消毒族とかね。
A氏:映画では「自分の目で見るまで信じない」みたいな主張がとうとうと語られていましたけど、実際、新型コロナも目に見えないから、なんとでも言える。
B氏:アニメ自体は「監督の指示通り、きっちり作りました!」って感じだけど、指示が悪かったんでしょうね。ゲームの1面2面みたいな構成で、流れがないんですよね。「はい、このターンはクリアしました、それはさておきでは次」みたいな。最近のソシャゲっぽいなあと思いました。場面が変わるたびに、チュートリアル的な説明セリフだらけのシーンが何度も繰り返し出てくるし、まさにビジネス書をソシャゲにしたような印象でした。
A氏:ビジネス書×ソシャゲ、その掛け算はヤバい。確かに、なにかとすぐ爆発したり、画面を無駄にキラキラさせたりしてるのも、ソシャゲっぽい。ていうかパチスロの画面っぽい。
B氏:オタク界隈では“1ミリも知らない私が『鬼滅の刃』を勝手に想像する”みたいな、“ミリ知ら”って遊びありますけど。“ミリ知ら”プペルのほうが面白そう。「俺が想像する最強のプペル」的な(笑)。ルビッチの声を演じる芦田愛菜ちゃんが脚本の『プペル』とか観てみたいですね。
――考えてみると、物語全体の象徴でタイトルにも入る“えんとつ”が、何を象徴していてるのか、あんまりよくわからないまま終わってましたね。「煙が上空を覆っている街」という舞台設定のためだけで、タイトルが意味的に回収されない感というか。画面のルックからして、『スチームボーイ』や『MEMORIES』の「大砲の街」など、大友克洋のアニメが好きなんだろうなとは思いましたが。
A氏:結局、ガワだけの映画なんですよ。STUDIO4℃ですから、さすがビジュアルは見応えありますけど、肝心のストーリーが……。
B氏:世界観やデザインはいいんだけど……。なんというかもう、物語ではなく「自分の話を100%理解してもらえないと許せないタイプの大人が、理解力の低い大人に対してくどくど話し続ける」きれいなプレゼンを見せられているような。
A氏:小道具やインテリアは僕もけっこう好きでしたよ。背景も含めた描き込みの密度感や2DアニメタッチのCGは、素晴らしいと思います。ただ、不快感がそれらを超えてしまったのは、やっぱり脚本と構成の問題ですかね。あと、ステレオタイプなキャラ設定の安易さ。
B氏:街の住人も、主要キャラ以外は“NPC”でしたね。決められた役割を果たすだけにいる、生命感が希薄というか。それこそ閉鎖された街という設定だと『シドニアの騎士』(MBS系)のほうが、太陽も差さない完全に閉じた宇宙船だけど、よっぽど人々の営みを感じました。『プペル』は街の産業がどうで、どうやって成り立ってるとか、えんとつ掃除人が町の中でどういうポジションなのかとかも、よくわからなかったです。
――そういえば、ネットの映画評サイトでは、賛否が極端に分かれててるみたいですね。5段階評価で、星5つと星1つが数で拮抗してるとか。
B氏:私のSNSのタイムラインでも、西野さんと直接仕事で関わりがある系の皆さまが『プペル』を絶賛してるのが流れてきてつらいです。しかも内容について言及はしてなくて、ただただ「西野くんよくやった! 伝わったよ!」みたいな。
A氏:起業家ワナビーの西野ファンが、そういった「やりたいことができればそれでいい」みたいな考え方だとすると、そんな恐ろしいことはありません。実社会は部活じゃなんで。
B氏:やっぱりオンラインサロン的というか、信者ビジネスですね。
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