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中国版には投げ銭とEC機能が付いている?──年収5億円を叩き出した10代も! 米中のTikTokでの稼ぎ方

中国では投げ銭機能も…素人が億万長者になれる!

 2016年に中国で産声を上げたTikTok。程なくして日本に上陸し、18年「ユーキャンの新語・流行語大賞」にノミネートされるなど、10~20代を中心に爆発的な広がりを見せた。20年現在、日本でTikTokはどのような状況に置かれているのだろうか? 国内のインフルエンサー・ビジネス事情に詳しく、自身も中国版TikTok「抖音」で16万フォロワーを獲得して人気を集めたLIVER株式会社の代表・りんか社長は、次のように解説する。

「日本でサービスが始まったのが17年で、翌年には、かなり浸透したと思います。若い世代の心をつかんだ理由は大きく分けて2つあり、ひとつが『いいねやフォロワーの伸びが他のSNSやYouTubeに比べてずっと大きかった』こと、もうひとつが『盛れるフィルター機能がついていた』こと。例えるなら、プリクラが動画化して、ずっとSNSで見ていられるような新鮮さがあったんです。とはいえ、動画ジャンルが100以上ある中国に比べて、日本は歌やダンスなど、まだまだ限られているのが現状です」

 アメリカでセキュリティ面での脆弱性が指摘され、どの企業が買収するかの話になっているという事態そのものが、逆説的にTikTokの国際的な成功を物語っているといえよう。また同アプリがここまで成長した要因のひとつに、広告との相性が良かったことが挙げられる。

 例えば、日刊工業新聞社が運営するウェブメディア「ニュースイッチ」に掲載された「日本の生活に溶け込む『TikTok』、利用禁止でどんな影響が出る?」という記事によると「UGC【引用者註:User Generated Contentの略。他のユーザーが真似して作ったコンテンツ】は広告に絶大な効果がある。TikTokの広告配信枠は、『起動画面』『インフィード広告』『ハッシュタグチャレンジ』『スタンプ』が提供されているが、公式動画が3本の動画を投稿した場合、UGCが生まれると動画の投稿数が約1万本、再生回数は1000万~1億回になることもある」とのこと。

 つまり、誰かがアップした動画が注目されれば、それをいろんな人たちが真似をして、異様な勢いで拡散していく……ということだが、確かにこれはテレビCMでは見られない現象だ。

 商品の認知を得たい企業としては、このようなミームの発生は歓迎すべきことだが、需要のあるところにビジネスが生まれるのは自然のことわり。日本でも、TikTok上での広告ビジネスは活発化しているようだ。

「企業からPR案件をもらうのが、TikTokerのオーソドックスな稼ぎ方で、PRだと示すハッシュタグを入れて投稿する形です。広告案件の報酬はピンキリですが、日本では10~50万円以下が相場。しかし、人気のある人は数をこなすことで年収1000万円を超えることも。YouTubeだと自分の動画の再生中に広告を入れることができますが、TikTokは仕様的にそれができない。宣伝する商材は、インスタグラムとそこまで差はありませんが、TikTokのほうが縦長でスマホに最適化しているので、商品を買いやすいのが特徴です。特にビフォーアフター動画だと、画像よりも動画のほうが映えますよね」(りんか社長)

 このような理由で広告との相性が良いTikTokだが、同アプリの利用率が高く、そもそも人口が多い中国・アメリカ・インドなどの国では、そのインパクトは日本とは比べものにならない。

「例えば中国では、すでに幅広い世代に見られており、ショートムービー部門ではダントツで見られています。また、日本とは違ってコインと呼ばれる投げ銭やEC機能もついており、動画を投稿するプラットフォームとしてだけでなく、ネットショップとしての役割も果たしています。動画を見て気になった商品があったときに、ボタンを押せば購入から郵送まで行ってくれる仕組みで、これが中国全土でバズりました。日本版アプリでもお財布機能はすでに搭載されているので、今後は、課金やネットショップ機能も始まると思われます。また、現在中国では、運営元のByteDanceは若者層よりも、30~40代にターゲットをシフトさせています。10~20代と違ってお金を持っている分、ビジネスにつなげやすいからです。事実、大人向けコンテンツや企業アカウントも多く開設されている状況です」(同)

 若者が面白動画をアップしているSNS程度、としか思っていない人も少なくないかもしれないが、発祥の地・中国では、想像以上の進化を遂げているようだ。

「日本では広告案件にPR表記を入れるのがルールとなっていますが、中国にはそのようなルールは存在しません。結果、入れないのがスタンダードになっています。そのため、中国のTikTokerは基本すべての動画がPRで、5万人フォロワーがいれば、毎回何かしらのPRが入っていると思ったほうがいいくらいです。ただ、ステマといっても、PRを面白くする手法は圧倒的に日本の先を行っています。自然な日常の1コマの中で商材を紹介するためステマ臭がせず、しかも、裏側には緻密な台本があり、ライティングも計算し尽くされている。まるで、ドラマの撮影レベルです。例えば『田舎に住んでいるおじいさんがドブ川で釣りをして、すぐに魚が釣れる』というバズ動画があるのですが、これは釣り用の餌の広告で、当然ながら肝心の餌はTikTok内で購入することができます」(同)

 このようにして、中国だけではなく、日本を含む世界各国で大ヒットアプリとなったTikTok。

 同アプリを利用禁止にするかどうかでもめているアメリカでは、TikTokで人気を集めた10代の素人が、スターダムを駆け上がろうとしている。海外YouTube事情を発信するサイト「YouTube Magazine」運営者である古田アデル氏は、こう語る。

「今、アメリカで一番人気のTikTokスターは、ダミリオ姉妹とアディソン・レイです。ダミリオ姉妹は16歳のチャーリーと19歳のディクシーからなる姉妹で、特にチャーリーの人気はすさまじく、TikTokのフォロワー数も昨年末時点で1000万人に届いていなかったのが、9000万人を超えました。年内に1億フォロワーは確実とみられており、『10カ月間で初めてフォロワー数が5000万人に到達したクリエイター』として、ギネスブックにも載るといわれています。

 一方で、今月誕生日を迎えた20歳のアディソン・レイはコスメプロデュースなどで知られ、19歳のときにはアメリカの経済誌『Forbes』の『最も稼いでいるTikTokスターランキング』で1位に選ばれました。そのときの年収は5億円以上といわれています。彼女は母親とスポティファイとの専属契約を交わしてポッドキャストを配信しているのですが、その際の契約金も相当な額だったそうです」

 フォロワー数も稼いだお金も、日本から見ればまさに桁違い。大国では一般人が一躍スターダムに躍り出る手段でもあり、巨大な広告効果を期待できるプラットフォームになっているのだ。

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