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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 岡村隆史はなぜ、 2020年に炎上した?

岡村はなぜ炎上した? ファンが求めるのは“岡村隆史というリアリティーショー”

見直されるお笑いの基準、ネタの選び方

 前々回のコラムでも書いたように今は、「ぺこぱ」のような前向きな笑いが流行る傾向にあり、誰かを批判したり、弱い者いじめのようにいじったりする笑いは、もはや時代錯誤なのだ。

 僕が子どもの頃は女性蔑視や人種差別、人の見た目で客を楽しませるエンターテイメントは数多く存在した。

 ゴールデンタイムでやっていた番組でも、女性を裸にして体に絵を書いて神経衰弱をしたり、低身長症の人たちで試合をし、笑いを誘うミゼットプロレスなど、現在のテレビではありえないような企画や演出も、炎上することなく当たり前のように放送されていた。

 かといって今更それを批判することはしない。それはその時代に合った笑いで、その時代の人たちはそれを見て楽しんでいたからだ。

 今でもいじりが通じる場合がある。それは相手が芸人の場合だ。

 いじられる芸人は返し方の引き出しをいくつも持ち、最後は必ず笑いで着地する。つまりいじられるプロ。プロ対プロなら見てる側も批判はしない。

 ただ今回、岡村さんが批判やいじりをした対象はすべて芸人以外である。つまりプロ対一般人なのだ。

 これがお笑いだからピンと来ないかもしれないが、格闘技だったらプロが本気で一般人に殴り掛かる姿を見て誰が喜ぶだろうか。岡村さんはこれと同じことをやってしまったのだ。

 プロ対一般人はあくまでも、子供が本気で相撲取りにむかっていくような、どこかほのぼのしてしまう平和な風景でなければいけない。

 残念ながら、岡村さんは現代の今の笑いにキャッチアップできておらず、勉強不足だった感は否めない。笑いの中に自己肯定や癒しを求めるこの時代に、誰でもお構いなしにいじる笑いは受け入れられなくなってしまったのだ。

 さらに根本的なこととして、岡村さんが過激な発言や批判的な見解をすることを、ファンは一切求めていないと僕は思う。

 その道のプロに交じって、ミュージカルやダンスに出演する為に、忙しい仕事の合間をぬって一生懸命練習したり、無理だと思われることに果敢に挑んだり、そんな姿に励まされ笑わされ、そして感動し、ファンになった人が大半だと思う。

 笑いを交えながら本気で挑む姿に、リアルさを感じて好きになった、つまり”岡村隆史のリアリティショー”を見て、ファンになった人が大多数だと思う。

”リアリティショー”という言葉が流行る遥か昔から、ファンは岡村隆史のリアリティショーに魅了されていたのだ。

 一連の騒動によって離れてしまったファンを取り戻すために、あの愛すべき岡村隆史のリアリティショーを再び見せて欲しい。

 その姿を待ちわびる人は多いだろう。僕もその一人である事は間違いない。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2021/01/03 14:42
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