『チコちゃんに叱られる!』岡村隆史の結婚にタイムラグ チコちゃん「スタッフは年の瀬までドタバタよ!」
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結ばれない男女のロミジュリ的ミュージカルを見る杏
この日2つ目のテーマは、「なんでペットボトル入りの牛乳って見かけないの?」である。これは筆者も謎に思っていた。牧場では缶入りの牛乳があるし、海外ではペットボトル入りの牛乳が販売されている。だけど、日本の市場では紙パックや瓶がほとんどなのだ。この質問に濱田は「短期決戦で飲む用なんじゃないですか?」と回答したが、それってどういうことなのだろう……? チコちゃんが発表した正解は「牛乳とペットボトルにはどうしても結ばれない悲しい物語があるから」であった。
牛乳が一般に飲料として普及したのは19世紀ヨーロッパと言われており、日本で庶民が牛乳を飲むという文化が定着したのは明治時代になってから。明治維新以降、積極的に海外の文化を取り入れていた日本人にとって外国人が好んで飲んでいた牛乳は興味の対象となり注目を浴びていた。ちなみに当時、牛乳はブリキ缶に入れて運び、ひしゃくで量り売りをしていた。そして、1886年には牛乳専用ガラス瓶が登場。その後、ガラス瓶での配達販売が行われるようになっていった。しかし、牛乳は栄養価が高い分、雑菌が繁殖しやすい。そこで、国は1951年に徹底した衛生管理を行うよう省令を定める。牛乳を販売するときに使用してもいい容器が定義されたのだ。それは、透明なガラス瓶。その後、1960年ごろになると子どもの健康づくりとして瓶に入った牛乳が学校給食に登場した。そして1970年代には許可を得て販売された紙パック入りの牛乳が広く普及する。しかし、瓶は割れやすく怪我をする危険性があるし、紙パックは一度開けたら飲み切らなければならなく持ち運びに適していない。こんなときに、アメリカで瓶や缶に変わる飲料容器が開発された。それは、合成樹皮でできたペットボトル。すると、1982年に日本の食品衛生法が改正されてオレンジやコーラなどペットボトル飲料の販売が可能になった。ここから牛乳とペットボトルの悲劇の歯車が動き出す――。
ここで始まったのは、「チコっとミュージカル ペットボトルとミルク ~ダブルの悲劇~」だ。ミルク・ホルスタイン(宮澤エマ)はペットボトル・ポリエチレンテレフタレート(加藤和樹)に恋焦がれているが、ミルクの父親はポリエチレンテレフタレート家との交際を許そうとしない。言わば、『ロミオとジュリエット』的なストーリーである。よく見たら、ミルクの衣装は真っ白になっており、ペットボトルの衣装はジャケットが透明だ。実態を表しているところがきめが細かい。
紙パック家や瓶家との交際にうんざりするミルクを尻目に、オレンジやコーラといったライバルたちはペットボトル主催のパーティに参加して楽しい日々を送っている。ペットボトルとの交際が許されないミルクは存在感を失っていった。そこで牛乳の人気回復のため、日本乳業協会と乳業メーカー各社が立ち上がり2007年にペットボトル牛乳が販売できる法改正にこぎつける。つまり、ミルクの父がポリエチレンテレフタレート家のパーティに参加することを許可したのだ。結果、ミルクとペットボトルは恋に落ちる。乳業団体がペットボトル牛乳の試作品を製造し、イベントで提供したのだ。
このまま2人は結ばれるかと思いきや、ここで悲劇が起こる。唐突に、ミルクの父が「結婚は許さん。ペットボトルではお前を守り切れん!」と言い出したのだ。牛乳はとてもデリケートな飲み物なので、ペットボトルとの相性がよくないことがわかったためである。ペットボトル牛乳の実用化に向けて試験を重ねた結果、牛乳は栄養価が高く、飲み口に直接口をつけてから常温で持ち運ぶと、その間に口に付着していた細菌が牛乳の中で増殖。それを飲むとお腹を壊す危険性があることが判明してしまった。
それでも、2人の恋は止まらない。ペットボトルは2人の新居として明るくて暖かい高台の部屋を用意していた。しかし、窓から入る陽の光を浴びたミルクは「日差しが強すぎるわ!」とうろたえてしまう。ペットボトルと瓶は両方とも透明な容器だが、その場で飲み切ることが多い瓶に対してペットボトルは屋外での持ち運びを前提としている。だから、どうしてもフィルムの隙間から光が当たってしまうのだ。これによって牛乳の脂肪分が酸化してしまい、味が変化するということ。濱田が言っていた「短期決戦で飲む用」って、このことか……。
各乳業メーカーは長年にわたり努力はしたものの、「細菌が増殖しやすい」「光で味が変化しやすい」という2つの悲劇を克服することは遂に叶わず、ペットボトル入り牛乳の販売を断念した。ミルクとペットボトルが結ばれることはなかったのだ。
というか、「なぜペットボトル入り牛乳は見かけないの?」の答えとして、わざわざ壮大なミュージカルを仕込んでくるNHKの豪快さに驚いた。年末にぶっこんできたな……。内容は結ばれない悲恋の物語だし、それを見ているのは前夫と色々あった杏だし、濃厚すぎてわけがわからない。
最後に、こんな補足情報がアナウンスされた。実は、スタッフがこの企画のVTRを作っている最中にペットボトル入りの牛乳が全国発売されるというまさかの事態が発生したらしい。光が当たらないよう遮光フィルムで覆い、持ち運びによって菌が繁殖しないよう一度で飲み切れるサイズにすることでWの悲劇を克服したのだ。筆者は恋が成就しないミルクとペットボトルのミュージカルを見ていたので、このニュースを聞いて「ミルクとペットボトル、2人ともお幸せに!」と思ってしまった。良かった、良かった。でも、遮光フィルムも飲み切りサイズも、最初から思いつきそうな対策法ではある。
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