地方公務員の懲戒処分2年連続増加…汚職は87件、財政悪化で処分も増加
#国家公務員 #汚職 #地方創生
地方で事実上の肩たたき増加
懲戒処分とは「一定の義務違反に対して科せられる制裁」であり、処分内容としては免職、停職、減給、戒告がある。「免職」は身分を失わせる処分、「停職」は一定期間職務に従事させない処分、「減給」は給与の一定割合を一定期間減額して支給する処分、「戒告」は規律違反の責任を確認するとともに将来を戒める処分となる。
処分には懲戒処分とともに、分限処分がある。分限処分とは「一定の事由により、その職責を十分に果たすことが期待し得ない場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分」となる。処分の種類としては「免職」「降任」「休職」「降給」がある。
懲戒処分と分限処分のわかりやすい違いは、懲戒処分で免職になった場合には退職金は出ないが、分限処分で免職になった場合には退職金が出るという点。つまり、懲戒処分は個人の義務違反だが、分限処分は義務違反ではなく、能力や適性の欠如が理由となっている。
さて、その分限処分だが、2019年度の処分者数は2万7531人もおり、前年度から1916人も増加している。表3の近10年の動向を見ても、2017年度から急激に増加している。都道府県では1万1566 人(前年度比502人増)が、市町村等では1万5965人(同1414人増)が対象となった。
処分の理由では、「心身の故障」が圧倒的に多く、2万7186人(同2024人増)、2位の「刑事事件に関し起訴」の100人(同15人増)をはるかに凌ぐ。処分内容は「免職」が120人(同128人減)、「降任」116人(同11人増)、「休職」2万7284人(同2028人増)、「降給」11人(同5人増)だった。さらに、休職のうち「心身の故障の場合による休職」が2万7123人(同2,030人増)を占めている。
冒頭に「新型コロナウイルスの影響が比較的に少ないと言われる公務員」と述べたが、実は地方財政の悪化での人員整理を「分限処分」で行うケースが増加している。勤務状態の不良や適性の欠如を理由として分限処分を行うことで、事実上の“肩叩き”が行われているのだ。
分限処分であるから、退職金は支払われるし、場合によっては割増も行われるが、それでも地方公務員という“職を追われる”ことに違いはない。休職者の増加、特に心身の故障での休職には、こうした人員整理のケースが含まれている可能性がある。
さて、公務員の犯罪と言えば、汚職事件を思い浮かべるが、2019年度は87件(前年比6件減)となっている。自治体数では74団体(同5団体減)で当事者は89人(同11人減)。
87件の汚職事件のうち、横領が51件、収賄が18件で、学校徴収金・給食費・教材費等の公金に関連した教育部門で18件、土木建築工事の執行に関するものや公金の取り扱いで土木・建築部門が11件発生している。
発覚する汚職事件は、国家公務員よりも地方公務員のほうがはるかに多いものの、いずれにしても公務員と“汚職”は切っても切れない関係のようだ。
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