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音楽の認知もインフルエンサー強し──「TikTokでバズれ」は老害!? 業界が頭を悩ます10代販売戦略

レコード会社が発信──SNS時代のマーケティング

音楽の認知もインフルエンサー強し──「TikTokでバズれ」は老害!? 業界が頭を悩ます10代販売戦略の画像2
YOASOBI オフィシャルサイトより

C 私は自社でSNSの担当をしているんですが、コロナ禍のステイホームという状況が追い風になって、新しい光が差し込んだ感じがしたんですね。例えば、自社音源を紹介する際、ツイッターは拡散力が高いですけど、実際の音楽へのフィードバックはそれほどないのに対し、インスタやTikTokは、サブスクへの流入やYouTubeのミュージックビデオの再生回数アップにつながりやすい。

A エイベックスがいち早くTikTokと包括契約を結んで(18年10月)、「2万5000曲を開放」ってニュースが話題になったけど、当時は「必死ねえ、A社も」って思った。でも今や他レーベルも追いつけ追い越せ状態。TikTokからの流入って馬鹿にできないんだよね。マイクロソフトが買収を断念したけど、今後もしアプリが使えなくなったら、何が代用となるか? って、今からアンテナを立てておかなくちゃいけない感じもする。

B 瑛人の「香水」やYOASOBI「夜に駆ける」のヒット【編註:両者共にYouTubeの動画再生回数は約1億回を記録】がTikTokの影響力とわかった途端、会社の上司は馬鹿のひとつ覚えみたいに「TikTokでバズらせろ!」とか言うもんだから、逆に「バズる」って言葉が痛々しく感じるようにもなっちゃいましたよ、僕。

D これまで弊社の会議ではTikTokの「ティ」の字も出たことがなかったのに、今やTikTokの影響力を無視できないということで、徐々にではありますが楽曲を開放する契約を結びました。TikTokの場合、「使われた曲がかっこいい」だけじゃなく、動画のインパクトも相まって、効果が倍増されるんですよね。実際に開放した楽曲が使われたりすると、YouTubeにアップしているMVのコメント欄に「TikTokから来ました」とか書かれてたりしますから。あと、インディの負け惜しみじゃないんですけど(苦笑)、今の10代の子たちって「メジャーだから」とか「インディなの?」とかまったく気にしてないような気がします。

A それはそうでしょうね。むしろメジャーなんて「シングルを3枚、年度末に帳尻を合わせてアルバムを1枚」とか、契約書に従ったリリースをしなくちゃいけないから、アーティストも気苦労が絶えないわよ。……って私が言える立場じゃないんだけど。

B うちも楽曲開放はしてます。TikTokはサブスクやMVの再生回数を回す施策としては有効ですから。ただ、TikTokにも一定数の「TikTokで流行ったら終わりだな」とかコメントするアンチは沸きますよね。

C そこに加えて、インフルエンサーの起用じゃないですか。関係値によってギャランティもピンキリですが、だいたい〈フォロワー数×1・5~2円〉の金銭を支払い、アーティストや曲をそれとなく紹介してもらう。「これ知ってる? 今すごく要チェックだよ!」とか宣伝してもらっても、「これは金を積まれたステマだな」とか一般層も無駄にアンテナが高くなってきているので、裏側が透けて見えないような手法にしています。

A だから、フォロワーが何十万人もいるインフルエンサーに依頼するよりも、フォロワーから毎日コメントが寄せられている、1万人前後のマイクロ・インフルエンサーに依頼したほうが効果が高かったりするのよね。

C その通りです。なので、10代の間で話題になってもらいたいアーティストをSNSで発信するときは、日頃からそのアーティストを「好き!」って言っているインスタグラマーやYouTuberをチェックするようにしてます。

A フォロワーが多いと、だいたいインフルエンサーを抱える事務所に所属していたり、幅を利かせた代理店が介入してきたりするじゃない? いつの間にかインフルエンサー・ビジネスがマネタイズの温床になっちゃったもんだから、金の臭いを嗅ぎつけた悪い大人が幅を利かせてたりするのよ。

D インフルエンサー・ビジネスに予算を捻出するのは厳しい環境ではありますが、やっぱり影響力のある人がSNSを通じて応援してくれると、再生回数は飛躍的に伸びますよね。

B 自分の好きなアーティストや、憧れの芸能人やモデルが「推してる」とわかると、確かにサブスクやMVの再生回数は伸びる。特にアーティストがほかのアーティストを推した場合は、同業者に対して無条件で“お墨付き”をもらえるわけですからね。

C そうした出来事がウェブメディアでニュースとして取り上げられ、テレビ番組で「このアーティストがSNSで話題」と紹介されて、お茶の間まで届けば、SNS担当としてはパーフェクトの流れです。「若者のテレビ離れ」なんて言葉が嘘なんじゃないかと思うくらい、やっぱりいまだにテレビは強い。

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