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30歳オーバーのアイドルオーディションが大ヒット! BL二次創作戦争も勃発!? 激動&波乱の中国アイドル事情

キーワード2:姐姐…若さが絶対条件の日本のアイドルにはない魅力

意味:「姐姐」とは「お姉さん」のことです。

30歳オーバーのアイドルオーディションが大ヒット! BL二次創作戦争も勃発!? 激動&波乱の2020年中国アイドル事情の画像3

 昔はこの「お姉さん」は年配のイメージが強く、若い女性には嫌がれる呼び方でした。なので「姐姐」の代わりに「小姐姐」こと「お姉ちゃん」の呼び方のほうが流行っていました。しかし今年6月に動画配信サイトMango TVで放送されたバラエティー番組『乗風破波的姐姐(Sisters Who Make Waves)』の影響で、この呼び方の人気が復活しました。

『乗風破波的姐姐』はアイドルオーディション番組なのですが、今までのオーディション番組との一番の違いは、参加者は全員30才以上の女性芸能人で、すでに女優や歌手として成功しているという点です。

 アイドルオーディション番組といえば、若さと愛嬌が売りの、夢いっぱいの若手が成長していく姿を見守っていくのが定番ですが、芸能界でキャリアを積み上げたプロ同士のハイレベルなバトルは新鮮で、かつとにかく痛快でした。

 バトル要素以外でも、女性が30代以後直面する悩みをリアルに反映した点も異色です。オーディションに参加した「姐姐」たちは芸能界から引退こそしていないものの、結婚などの理由によりこの数年は露出が減っていた人ばかり。彼女たちの自身のキャリアに対しての考え方、年齢との付き合い方は大変興味深く、女性視聴者にとってはとても共感できる内容でした。

 そして番組を勝ち残ってデビューしたグループも、これまでの可愛らしいだけの女性アイドルグループのイメージを覆す、大人でかっこいい、個性と自信のあふれるパワーあるアイドルグループでした。そしてファンも敬意をこめて彼女たちを「姐姐」と呼んでいます。

 私が特に面白いと思ったのは、アイドルの位置づけでしょうか。日本の感覚では、女性アイドル達はいつか「卒業」してしまうものです。若い時はアイドルでも、卒業して女優、歌手に転身するのが当たり前ですよね。一方、この番組の参加者たちは年齢を問題にせず、「私はアイドルにあこがれている」と明言していました。若さが絶対条件の日本のアイドルと、中国は違う世界なのだなと改めて感じました。

 また、中国のアイドルオーディション番組は韓国の番組と同じ形式がほとんどですが、『乗風破波的姐姐』はオリジナルです。番組内でいろいろと新しい試みが見られるので視聴者の私にとっても大変よい刺激でした。

キーワード3:塌房…家が倒れるほどショックなアイドルの不祥事

意味:2020年に広く使われたアイドル用語。もともとの言葉の意味は「家が倒れた」ですが、アイドル用語としては自担当、推しの不祥事を知ってしまったとき、まるで自分の家が倒れたぐらいショックだった気持ちを表す言葉になります。

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SNH48(Getty Images)

 2020年、SNH48、UNINE、R1SEなど人気グループメンバーの熱愛発覚が相次ぎました。ダメージを受けてファンをやめる人は少なくありません。中国におけるアイドルの応援文化は韓国の影響を大きく受けていて、お金がらみの応援活動が多いです。仕事現場にいつも差し入れをして、誕生日になるとブランドものなど高価なプレゼントを贈ったりします。時間だけではなく、金銭面の投入も大きいため、熱愛報道に対して「裏切られた」と怒り、激しい拒絶反応を示すファンが多いです。

 韓国と日本のアイドルは一般的に下積みの期間が長く、業界内の競争も激しいので、実力がないとなかなかやっていけません。中国アイドルはマーケットが大きいのに有力アイドルは少ないので、実力やプロ意識がなくても成功する人も少なくありません。不祥事が増えてきた今年、こんなことなら実力とプロ意識を兼ね備えた外国のアイドルを応援したほうが気楽で楽しいのでは……という中国アイドルファンの議論をよく見かけるようになりました。

 オタク道は日本でも修羅の道ではありますが、ダイナミックな中国のお国柄を反映してか、修羅の道もより厳しくなっている……と感じますね。

 と、こんな形でアイドルから見える中国はなかなか趣深い世界なのです。この記事で、少しでも中国のアイドル事情に興味を持っていただけたら幸いです。

はちこ(ライター)

「現代中華オタク文化研究会」サークル主。小学生の頃、中国語吹き替え版の「キャプテン翼」で日本のアニメを知り、中学生の頃「ナルト」で同人の沼にドハマり。以来、字幕なしでアニメを見ることを目標に、日本語学科へ進学。アニメをより深く理解するには日本の文化や社会の実体験が不可欠だと考え、2011年来日。名古屋大学大学院修士課程を修了後、都内勤務。現在も継続的に中華オタク関係の同人誌を執筆している。

Twitter:@hathiko8

【http://hathiko8.blogspot.com】

はちこ

最終更新:2021/01/02 12:00
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