立民・小川淳也議員を追った映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』「こんなバカな奴がいるんだな」
#映画 #ドキュメンタリー #政治家 #国会議員
なぜ歯を食いしばってまで、議員を続けるのか
「答えにくいかもしれませんが」と前置きした男性の質問は、映画の中で「比例代表での当選だと発言権が弱い」というのが何度も言われているのを、「自分たち国民側としてはそれはどうして? と思うんですが」というもの。
“ほん、それ!”なのだが、
「国会で安倍さんや菅さんと対峙するときに、自分は比例だからと卑下したことは一度もありません。大事な議席を預かってるという思いでいます。ただ党内で主導的な役割を果たすには、たとえば党首なら選挙で仲間を勝たせるというのが大事な仕事で、当の本人が選挙区で勝ってないというのは笑えない逆説です。与党と対峙するには問題ないが、党内で主導的な役割を担うなら選挙区でまず勝ってこいというのがセオリーなんです」
と言う。
小川さんの選挙区である香川一区の対抗馬は、自民党のデジタル大臣・平井卓也議員。平井氏は、地元有力メディアの四国新聞と西日本放送のオーナー一族の御曹司だ。地盤看板が強固で、小川さんはこれまでなかなか選挙区では勝てず、比例区での復活当選となっている。
そんな逆境の中で絶望しつつもはいつくばって進み続け、決して初心を忘れない政治家たらんとする姿が映画では描かれ、そこに多くの人が共感をしているのだが、「そういうモチベーションはどこから?」という質問も出た。
「実はそれがいちばんの謎でした。なんでわたしはこんなに歯を食いしばってやってるんだろう? と。あらゆることを考えてきたし、調べて自分の中で答えが出てるのに、最後その1つのピースだけが埋まらなかったんですね。それがここ半年ぐらいで気がついたんです。これだけ時代が変わる中で政治は変わっていない。それによってどれほど多くの人が苦しんでさ迷っているか。そこに多少でも方向づけを改め、貢献できたとしたら、これほどの幸せはないんじゃないか? 世のため人のために具体的に役に立ちたいという欲にかられてやってきたんだなと思いました。
先日、取材に来られた若いライターさんに『それは大欲ですね』と言われました。自分のための欲は『小欲』、世のため人のための欲は『大欲』。ハッとしたんですね。その言葉を調べたら、『大欲、無欲に似たり』という格言が昔からあると知り、それに近い心境で歯を食いしばってやってきたのかな?と最近思いました」
日本政治のリアルを描いたドキュメンタリー映画、観客たちも政治に社会に熱いまなざしを注いでいて、意義のある討論になっていた。
ところで11月に新型コロナウィルスに感染、発病した小川さん。今は大丈夫ですか? と舞台挨拶後に伺うと、「退院して1週間ぐらいは体調がおもわしくなかった」そうだが、今はお元気に。「もっぱら議員宿舎で自炊しています。カレーとか焼きそばぐらいしかできませんが」という。
しかし、小川さん、もし、この映画の主人公が自分でなかったら、どんな風に見ますか?
「もうちょっと成長してほしいですよね。政治家としてのしたたかさをもう少し身につけてほしいと思います」
でもご自身では?
「できないんですよ。バカだなぁと思います」
なお、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』はまだまだほかの劇場で公開中。2021年4月にはDVDも発売予定だ。
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