立民・小川淳也議員を追った映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』「こんなバカな奴がいるんだな」
#映画 #ドキュメンタリー #政治家 #国会議員
2020年コロナ禍にあって映画館もまた大きな打撃を受けた場所だが、そんな苦しい状況の中で異例のヒットをした、政治ノンフィクション映画がある。それは立憲民主党(比例四国ブロック)の衆議院議員、小川淳也さんを17年間に渡って追った作品『なぜ君は総理大臣になれないのか』だ。
映画は「国民のためという思いなら誰にも負けない自信がある」と立志した32歳の若者(小川さん)が、日本の政界という魑魅魍魎うごめく中でひたすら愚直に、希望を持ちながらも挫折を繰り返して歩んでいく姿を描き、選挙制度の不条理さや国民が政治家に何を望んでいるのか?も見えてくる良質なドキュメンタリー作品だ。
そんな映画を6月からいち早く上映していた東京・中野の映画館『ポレポレ東中野』で最終上映を迎えた12月28日夜、主人公の小川さんと監督の大島新さんが舞台挨拶をした。
実は小川さん、これまで映画は未見。自分が見て感想を言えば映画の公平性が失われてしまうと、制作段階から一切口をはさまず、全てを監督に委ねてここまできた。
この夜初めて映画を見ることになる小川さんといっしょに作品を見届けようと、観客席は満席に。万来の拍手に迎えられた小川さんは開口いちばん、「本日は本当にありがとうございます」と、深々お辞儀をした。そして、自らを映した作品を初めて見た感想を、
「こんなバカな奴がいるんだな、というのが正直な感想で、私ってあんな人間なんですね。純粋だし正直だしあらゆることをぜんぶ言っている。ほんと、バカですね」
と胸いっぱいの想いを少し涙交じりの声で照れたように言い、観客は笑いに包まれた。
17年間、小川さんを追って来た大島監督が懐かし気に「(初出馬の)03年の映像とか、なつかしかったですよね」というと、「なんか少年ですよね」と現在49歳になった小川さんは当時を振り返りつつ、政治信条はその間ずっと変わらないことを語った。
「最初は何もバックボーンがなくて集会さえ開けなかったんですが、何人か事務所に駆けつけてくれ『何がやりたいんだ?』と、直球で聞かれました。とっさに答えたのが、社会保障を立て直したい、外国に開かれた日本社会を築きたい、エネルギーと環境を持続可能なものにしたいということで、17年前に答えたそれは今も何ら変わらない。変われない、変わりようがないんです」
続いて観客からの質問コーナーに移ると、映画に何度か登場する政治評論家の田﨑史郎さんについて尋ねられた。
「田﨑さんは自民党大好きなんで安倍さんや菅さんのことを語り始めると、美味しいものを食べてるような、ほっぺた落ちそうな顔をするんですね」
会場はふたたび笑いに包まれ、「民主党政権時にはほとんど毎日電話がかかってきて、あれどうなってんだ?これはどうなるんだ?とあったのに、民主党政権が終わったら一切電話がかかってこなくなった」と小川さんが言うと、さらに大爆笑に。
そして「今日で4回目」という熱心なリピーターの男性が「小川さんは自分の言葉で思いを伝える術を持っていると監督が映画の中で語っていますが、そのせいなのか小川さんに対峙する人たちも常に自分の言葉でしゃべってるのがわかります。そこが小川さんの魅力だと思います」と、自分の言葉で熱い思いを伝えた。
そのうえで、自分の思いを伝える術をどのように持ったのかを尋ねられると、
「国会の質疑に立ってるときもそうなんですが、伝えたことが伝わったと思うとそれは錯覚で、伝わったことしか伝わってないんですね。だから話をするときは極限まで相手の思考回路、知識の量、考えるステップの踏み方を徹底して想像して、相手の立場に立って伝える、話す、聞く、これだけは徹底しているような気がします」
と、小川さん。なるほど、だから小川さんの国会質疑はわかりやすいのか。
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