「鬼滅=歌舞伎」説! 劇場版ヒットで判明したストーリー消費のパラダイムシフト
#アニメ #フェス #Netflix #鬼滅の刃 #産業医と映画Pによる配信作品批評「ネフリんはほりん」
日本のマンガは成熟しすぎ。その中で受け入れられた鬼滅のシンプルさ
――内容に関してはどうですか?
大室 要素的には今まであったものの組み合わせで、マンガとして新しいものがあるわけじゃないから、ストーリーを語ろうとすればするほど難しいところはある……。
伊丹 僕は映画で煉獄(杏寿郎)さんの存在を初めて知ったというライトユーザーだけど、その生き様に恥ずかしいけどちょっとウルッときた。強く生まれてきたのは弱きものを助けるためだと愚直に信じ続けてきた根明な男が身を挺して戦う物語、なんて数千年前からあるんだろうけど。まぁ、こういうカタルシスはいつの時代でも人間である限り感動しちゃうんだな、と。
大室 間違いない。
伊丹 というか、煉獄さんはキャラクターの輪郭線がめっちゃ太い。演目の途中を切り取って見せるオペラや歌舞伎も物語の輪郭線がすごく太いアートとも言える。こうなると「鬼滅=歌舞伎」説がいよいよ濃厚になってきた。
大室 煉獄さんは顔も歌舞伎役者っぽいしね。
伊丹 歌舞伎要素があると考えると、ある意味で大衆芸能的というか、今年の日本文化の象徴になったのも必然だったのかも。今年放送された『半沢直樹』の歌舞伎要素も話題になったけど、実は『鬼滅の刃』のほうがはるかに歌舞伎だったから、『半沢直樹』の盛り上がりを軽々凌駕していったと。
――『半沢直樹』のストーリーはシンプルだけど、なんだかんだ設定とかはややこしいのもありますね。
大室 今年流行った『呪術廻戦』も『HUNTER×HUNTER』をもっと複雑にしたような話で、マンガを読み慣れてる僕でも読み返さないとわけわからなくなる……。いや、面白いんだけど。一方で、『鬼滅の刃』は小学生でもわかるくらいのシンプルなストーリーだもんね。
伊丹 『鬼滅の刃』はそのあたりも本当にいいあんばいだったわけだ。
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