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日刊サイゾー トップ  > 「鬼滅の刃」は歌舞伎だった?
産業医と映画Pの配信作品批評「ネフリんはほりん」#3

「鬼滅=歌舞伎」説! 劇場版ヒットで判明したストーリー消費のパラダイムシフト

鬼滅は歌舞伎⁉ 途中消費で起こるフェス的現象

伊丹 このキャラクターは誰で、どんな設定の物語なのかとか、最初に説明がまったくないもんね。

大室 『スター・ウォーズ』ばりに、前作を知ってる前提の作りでしたね。『スター・ウォーズ』ってスペースオペラと呼ばれてるでしょ。この言葉を使う文脈は意外とややこしいんだけど、期せずして実際のオペラと同じく、途中演目を観るという意味では似ている。これは日本で言ったら歌舞伎。オペラも歌舞伎も長い演目があるなかで、今回は「助六」をやります、とか一部分を切り取って公演するじゃん? 『鬼滅の刃』の劇場版も、全体のストーリーの途中経過だけを見せる。そしてストーリーを知らない人でも、見得を切る姿など、意味よりそのシーンの強度を観に行ってるという部分もあって、そういう意味では鬼滅の映画はもう歌舞伎の域に達してたのかも。

伊丹 ストーリー消費のエコシステムを、決定的に変えちゃった作品なのかもしれないですね。あそこまで新規客への説明を無視してアニメの続編として作りきることで大ヒットするなら、テレビや配信サイトと同じで、もはや映画館は発信するプラットフォームのひとつでいいじゃん、となる。

大室 映画って今まで特別なものだったけどね。

――ヒットの理由はどうみますか?

伊丹 もともと人気はあったけど、今年4月くらいの巣ごもり消費を強いられる環境で、Amazon プライム・ビデオやAbemaTVなどでも配信が開始されて、あらゆるところにタッチポイントが生まれた。これによってどんどん新規ファン層が拡大して、すさまじく大きく深く育ったファンコミュニティが、映画館再開のタイミングで公開された続編に結集して大爆発したってことなんだと思います。

大室 僕の妻もそうだけど、“映画だから観に行く”ってよりも、“続きが気になるけど映画でしかやってないから映画館に行く”って人はかなりいたと思う。

伊丹 もはや『鬼滅の刃』というコンテンツの続きを大きなスクリーンで消費する、祝祭の場と化してた雰囲気だね。

大室 フェスの会場みたいだね。

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