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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 『富豪刑事』タッキーとの舞台裏…伊藤監督語る

『富豪刑事』タッキー社長との舞台裏…伊藤智彦監督と振り返る2020年のアニメ業界

優良スタッフ集めは今や困難に

ーー雑誌のインタビューで『富豪刑事』の続編を作るべきだって言われていましたね。

伊藤:続編自体はできますよ、原作には別の思考法でと同じ取り分をもらえれば(笑)。ただ作れる現場、座組みを作れるかが重要なんですが、よいスタッフを集めることが難しくなっているんです。

ーーそれはどうしてですか。

伊藤:まずはアニメ作品数が変わらず多いこと。そして上手いアニメーターは結局、上手いアニメーター同士で仕事してしまうんですよ。『ブラッククローバー』や『呪術廻戦』なんかは、作品の内容も関係してるかもしれませんが、メキシコやボストンのアニメーターが参加していて、独自のコミュニティがあるくさい。なかなか門外漢がそこに入っていけないですね。

ーー腕のよい海外のアニメーターは自分で次の仕事を決めちゃってるわけですね。

伊藤:そうです。一時期はクレジットが日本人の名前じゃないとアニメファンからネガティブな発言もありましたけど、今は質もよい。むしろ全世界から上手いアニメーターが結集している感じがあります。そして絵描きそのものがハブになってキャスティングする。彼らが好きな原作のアニメなんかは人が集まりやすくなってます。

ーーオタク心が満たされる作品を彼らが求めていくと、原作のないオリジナルものなんかは人が集まりにくくなりますね。

伊藤:そうなんですよ。だからオリジナル厳しいんですよ。逆に、たとえば本田雄さんのような超A級アニメーターが参加してます、という時だけ人が集まったりする。『呪術廻戦』の朴性厚監督も、そうした人を集めてきやすい人なんじゃないですかね。本来なら現場のプロデューサーは人を集めるのが仕事なんですが、今はなかなか集められないので苦労していますね。

ーー逆に評判のいいプロデューサーは誰なんですか?

伊藤:ここ数年で名前が挙がるのはクローバーワークスの福島祐一くんや、ウィットスタジオの中武哲也さん。彼らが良い腕のアニメーターたちをかっさらっていくんですよ(笑)。

 いろいろ要因はあると思うんですが、仕事の仕方が懇切丁寧ですよね。仕事で「これ手伝ってもらえる人います?」と聞くと「探します!」とレスポンスが早い。夜中でもすぐリアクションが来る。そういう積み重ねが信頼感になる。俺も以前中武さんに助けてもらったので、『進撃の巨人』の絵コンテを2本描きました。

ーー今世の中的にはフリーの時代って言われていて、アニメ業界は基本的フリーの方が多い。でも作品を安定供給する人材を確保するとなると、どんどんインハウス、社員化に進む可能性が出てくる。

伊藤:社員ないしそれに近い待遇でってところが増えてきてます。そうしないと人を確保できないから。年齢がいった人とかは安定したライフスタイルにシフトするモードがあるので、40過ぎた人は「社員どうですか」って話を会社からされるというのはよく聞きます。

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